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【市況】明日の株式相場に向けて=狐と狸の化かし合い、VキューブS高の衝撃

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 3連休明けで名実ともに5月相場入りとなった2日の東京株式市場だが、日経平均株価は前営業日比29円安の2万6818円と小幅ながら反落した。強弱観対立のなか、大型連休の谷間ということもあって売り買いともにポジションを一方向に傾けにくい。そうした状況下、きょうのマーケットは気迷いムード一色というのも変な表現だが、本当に最後まで方向感がつかめない地合いだったといえる。きょうは「月初ということで機関投資家の買いが観測され、その分だけ全体相場に浮揚力が働いた」(ネット証券アナリスト)という指摘もあったが、それに見合うだけの売りニーズも存在しており、売り方と買い方で“狐と狸の化かし合い”のような相場展開であった。

 前週末の米国株市場は荒れた。NYダウナスダック総合株価指数ともに寄り付き早々上値が重いとみるや、その後は一貫して売りがあふれ出てくるような状況に陥り、大引けまでひたすら下値を掘り下げていく動きに終始した。NYダウは引け間際に1000ドルを超える下げをみせたほか、ナスダック総合株価指数の下落率は終値で4%を超え、年初来安値を更新している。徹底的なハイテク・グロース株叩きが続いた米株市場では4月月間のナスダック指数の下落率が13.3%となり、これはリーマン・ショックが起きた2008年9月の下落率を上回った。

 マーケットは主要企業の決算発表で嵐に身構えていたとはいえ、前週末はアマゾン・ドット・コム<AMZN>が14%の急落をみせるなど想定以上の暴風雨に晒された。GAFAMの決算は通過したものの、これで台風一過とはなりそうもない。しかし、米株暴落を受けて日経平均は一気に下値模索となるのかと思いきや、そうはならなかった。

 むしろ「目先的には空売り筋の方が足もと警戒感を強めているようだ」(中堅証券ストラテジスト)とする声も聞かれた。これは大型連休後半、東京市場が休場している最中の3~4日の日程で開催されるFOMCとその会合後のパウエルFRB議長の記者会見に対する思惑が背景にある。これまでに5月の0.5%の政策金利引き上げは100%織り込み済みで量的引き締め(QT)の実施についても8割方織り込んでいる。マーケットの関心は既に6月14~15日の日程で行われるFOMCでの利上げ幅がどうなるかに向かっている。

 そのなか、市場関係者によると「6月は事前コンセンサスで(政策金利の引き上げ幅が)0.5%か0.75%のどちらになるのか、前週までほぼ五分五分の状況にあったが、足もとでは0.75%との予測が90%以上と大きく傾いている」(同)という。つまり、株式市場にすれば悲観シナリオを織り込み過ぎている嫌いがあるということだ。したがって、4日のパウエル議長のコメント次第ではあるが、仮に6月に0.75%の引き上げの可能性が実はそれほど高くないという思惑が生まれた場合、株式市場は急速にリバウンド局面に向かうだろう。これはあくまで短期的な戻りで中期的な波動転換とはならないとしても、3月中旬から下旬にかけての急騰劇の残像が売り方の脳裏に残っているとすれば、FOMC直前の時間帯はポジションを軽くする、つまり買い戻しておきたい欲求に駆られる。また、「相場巧者なら売り方の思惑を察知して、きょう前場のタイミングで安い銘柄には打診買いを入れておいた向きもいたはず」(同)とする。まさに狐と狸の化かし合いである。

 来週から企業の決算発表ラッシュに突入することで、決算またぎの銘柄は触りにくいところ。実際、発表後の動きを見極めてから銘柄選別するのが賢明といえるのだが、大勢トレンドが底値圏に位置し、空売りの溜まっている銘柄については決算通過でその内容に関係なく株価を急伸させるパターンも少なくない。前週28日取引終了後に22年12月期第1四半期(1~3月)決算を発表したブイキューブ<3681>は良い例で、5割以上の大幅営業減益にもかかわらず、ストップ高で買いものを残す人気となった。逆日歩銘柄であり需給はすべてに優先する典型となっている。

 あすは、東京市場は休場(~5日)となるが、海外ではオーストラリア中銀の政策金利発表や、1~3月期香港GDP、3月のユーロ圏失業率、3月の米製造業受注などが予定されている。また、FOMCが4日までの日程で行われ、この結果とパウエルFRB議長の記者会見に世界の耳目が集まることになる。なお、あすは中国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナムなどアジア各国の市場やインド市場も休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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