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【市況】明日の株式相場に向けて=2万7000円台は果たして主戦場か

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(17日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比227円安の2万7232円と反落。きょうは後場に入り、先物主導により日経平均がフリーフォール状態で株価水準を切り下げる場面があった。ロシアの国営通信社であるスプートニクが「ウクライナ軍が迫撃砲などを発射した」と報じ、これにAIアルゴリズムが反応し売りプログラムが発動され全体を押し下げた。

 もっとも日経平均は一時380円近く下げたが、その後は下げ渋る展開となっている。ロシアの政府系メディアの報道に対する信憑性に疑問符が付くうえ、「ロシアがこのタイミングで軍事侵攻することは自らの首を絞めることになる。そんな愚は犯さないとの見方がマーケットに広がった」(中堅証券ストラテジスト)とみられ、買い戻しを誘導した。しかし、上値も重い。戻し切れず、結局大引けの日経平均は230円近い下げで着地している。

 引き続き下値の見えない相場が続いている。前日は日経平均が先物主導の戻りで600円近い急上昇をみせたが、潮の流れ自体は引き潮にあることに変わりはなく、株価が噴き上がった場面では売りを優先させるのが賢明である。今は2万7000円大台ラインが攻防の要衝となっているが、しばらく上下動を繰り返しているうちに、売り買いの主戦場となっているゾーンが気が付くと一段切り下がっていたというような可能性もある。

 したがって個別株戦略も、地合い悪の中で赤札銘柄につけとばかりに上がっているものを追いかけるのは、これまでと比べ明らかにリスクが伴うし、突っ込み買いを狙う際にも値ごろ感だけで買い出動するのでは、足もとをすくわれるケースが多くなるということを認識しておきたい。ただ単に、“良さそうな銘柄があるから安いところを拾っておこう”くらいの思惑で資金を投入して報われるのは、全体相場が中長期トレンドで上昇気流に乗っている時である。今は軽い気持ちで買い下がっていくうちに深みにハマってしまう危険な相場だ。テンバガーの象徴として大化けを演じたFRONTEO<2158>だが、好決算を発表したにも関わらず直近3営業日の下げは唖然とするよりない。同社株が上場するマザーズ市場も新安値圏に沈んでおり、再び追い証リスクが意識される地合いとなっている。

 こういう下げは中小型株だけではなく主力級の銘柄にも及んでいる。例えばリクルートホールディングス<6098>は15日の700円超の急落後、リバウンド狙いの買いを凌駕する形で一段安となっている。また、値がさ優良株で個人投資家があまり売買の対象としていないキーエンス<6861>の崩れ足もグロース株売りの象徴だ。これらの銘柄は実需売り、即ち海外投資家がポートフォリオから外すという投資行動を反映している。

 全体相場の観点では、表向きには3月15~16日の日程で行われるFOMCが大きなヤマ場となるが、このビッグイベントについては、事前にFRB理事や地区連銀総裁のコメントがアドバルーンとなって、否が応でもマーケットは金融政策の今後を織り込んでいく。そのためハードランディング的な株価の波乱は意外と回避しやすい。むしろ、東京市場はここから3月にかけては浮き輪をつけたような状態で、株価には浮揚力が働きやすい。というのは、株主還元姿勢を強める企業が多いなか、株主にとっては魅力的な配当が目白押しで、これがポジティブ材料となっているからだ。

 グロース株全盛の地合いでは、インカムゲイン狙いの投資スタイルは忘れられがちだが、現在のようなバリュー株シフトの流れが強まると、総還元性向の高い企業は投資対象として輝きを増す。とりわけ、所有期間利回りを考えた場合、今月下旬から3月下旬にかけては、駆け込みによる配当権利取り狙いの買いが集まりやすい時期となり追い風となる。ただし繰り返しになるが、世界的なインフレ圧力により、中央銀行は金融の蛇口を締める必要に迫られている。コロナマネーがもたらした超金融相場の幕引きが近づいており、それに伴うハードランディングがあるとすれば、配当権利落ち後の相場は要注意となる。

 あすのスケジュールでは、1月の消費者物価指数(CPI)が注目される。また、3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。海外では1月の米中古住宅販売件数、1月の米景気先行指標総合指数など。海外主要企業の決算では、ウォルマート<WMT>が発表予定でマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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