【市況】【植木靖男の相場展望】 ─年末特有の餅つき銘柄に注目!
株式評論家 植木靖男
「年末特有の餅つき銘柄に注目!」
●関門に差し掛かった日経平均、週明けが正念場に
日経平均株価は12月に入って回復に転じたものの、米国株の上昇というお膳立てがあったにもかかわらず、上昇エネルギー不足の感が強い。12月16日に2万9000円大台にせっかく乗せたものの、海外勢の売り崩しともみられる執拗な売りもあって、後が続かず再び下落。17日、20日と米国株急落と軌を一にして下げた。
ここへきていくつか材料視されたポイントについて再考してみたい。
まずポイント(1)。17日、20日の2日間で1000円を超える急落となったが、21日には反発した。仮にこの日また下げれば、もはや流れは一気に続落基調となったはず。そして、22日も上昇が続き危機を脱した。
ポイント(2)。次の焦点は、戻り相場のいわゆる肝とされる2万8850~2万9000円処の水準を駆け上がることが可能かどうか。この判定が委ねられた週末はザラバ高値2万8870円を付けたものの、引けは2万8782円となった。週明けが正念場だ。
ポイント(3)。上述の2日間の急落の背景には、新型コロナウイルスの変異株オミクロン型の感染拡大懸念、米バイデン政権の気候変動・社会保障関連歳出法案の挫折懸念、そしてインフレが進む状況下で米国金融政策がどう展開するかということへの警戒感の3点がある。
なかでも重要なのが、やはり米国の金融政策であろう。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、パウエルFRB議長がテーパリング(量的緩和の縮小)のペース加速(22年3月終了)を表明したほか、その後の利上げ(22年は3回、23年は3回、24年は2回)についての見通しも示された。しかし、満期が到来する国債に再投資をするか否かについては口を閉ざした。
量的金融緩和策の終了はFRBのバランスシートの縮小につながる。でなければ、なお市場に投入されている資金額はピーク状態が続くことになる。逆に言えば、株式市場はそれまでは引き続きおカネじゃぶじゃぶで高値圏での推移が続くことになる。パウエル議長がこの点に言及する時期についてはまだ決めていないとしている。
●日々の値動きに目を凝らす
日経平均株価は肝となる水準を突破すれば3万円が視野に入るし、再び押し戻されれば下値をまたも試すことになる。正念場であろう。また、米国のNYダウ、ナスダック指数ともに日経平均株価と同様、肝となる水準に差し掛かっていることに注目したい。
目下、クリスマス、年末で日米ともに市場参加者が細っている。まして海外勢に依存する日本のマーケットはことさら売買高の減少が目立っている。需給面で海外勢の売りに対して年金基金の買いや自社株買いという対決姿勢が鮮明となる中、目先の騰落で一気に白黒がつくことも予想され、日々の値動きに目を凝らすことが肝要だ。
いまの相場は短期的投資の比率が高いといわれるが、年末の餅つき相場も大詰めを迎えるだけに、この傾向はより強まるはずであり、慎重な姿勢での投資が望まれる。
では、ここでの物色の流れはどうみればよいのか。これまで指摘してきたように、FRBのバランスシート縮小までは、ここ1~2年の物色の流れは不変とみたい。つまり、グロース株への傾斜が続こう。
とはいえ、年末特有の餅つき相場という流れからみれば、中小型の値動きのよい銘柄が好まれよう。まず、利益成長鈍化といわれ下落したものの、直ちに反発に転じた神戸物産 <3038> に注目したい。7期連続で最終利益が過去最高を更新。時価総額が1兆円を超えた。
次に廃棄物処理のミダックホールディングス <6564> も面白そうだ。22年3月期第2四半期累計(4-9月)の最終利益が過去最高となったが、この流れは変わりそうにない。だとすれば、株価は下げすぎと言えよう。
最後にサイバーセキュリティが重視される今日、ソリトンシステムズ <3040> に注目したい。セキュリティ分野の需要は着実に拡大している。
2021年12月24日 記
株探ニュース