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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─東京市場には極端(異常)な数値が出現!

経済評論家 杉村富生
 
「東京市場には極端(異常)な数値が出現!」

●投機筋の「あおり」と「売り叩き行為?」

 ここ数日、東京市場の“独歩安”である。マーケットは売買が再開された中国不動産大手の恒大集団の経営危機を気にしているが、21日の上海総合指数は小幅高だった。ハンセン指数の下げはマイナス0.45%にとどまっている。NYダウは小幅安(マイナス6ドル)だったが、ナスダック指数は上昇し、S&P500指数は史上最高値を更新している。

 これに対し、21日の日経平均株価は546円安の2万8708円と急落した。瞬間安値は2万8688円まであった。半導体株(SOX)指数は反発、VIX(恐怖)指数は15ポイント前後に低下している。それなのに、東京市場だけが暴落だ。21日の値動きを見て多くの投資家が「何だ、これは?」と思ったのは当然だろう。

 その答え(暴落の背景)は10月6日に、2万7293円のザラバ安値を付けた後の急速な戻り(約2200円幅)にある。どういうことか。20日の状況が分かりやすい。日経平均株価は40円高だったが、東証1部の値下がり銘柄数は1280、値上がり銘柄数は790だった。6割の銘柄が値下がりである。

 この日、ソフトバンクグループ <9984> 、ファーストリテイリング <9983> だけで日経平均株価を約76円押し上げた。そう、先物主導の展開である。指数は上伸していたものの、多くの投資家は「自分が持っている銘柄はピクリともしない」と。こんな状況ではETF(上場投資信託)などを買わない限り、利を得るのは難しかったと思う。

 実際、騰落レシオ(値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数×100[%])は指数の上昇とは裏腹に、ずっと低下していた。ちなみに、21日時点の騰落レシオ(25日)の数値は東証1部が73.60%、2部が82.16%、ジャスダックグロースが68.42%、マザーズが73.36%だ。通常、株価が上昇している局面では120%とか、130%になる。今回は極端な現象である。

●ビットコインは史上最高値を更新!

 これはヘッジファンドなど投機筋による指数だけの典型的な「あおり」行為だ。そして、次は「売り叩き」である。日本市場は外国人には規制が緩い。このため、「やりたい放題」ができる。国内勢は振り回されてしまう。では、なぜ、彼らは売りに転じてきたのか。「衆院選挙は買い」(1969年以降、衆院選期間中の株価は16勝0敗)ではなかったのか。

 実は、外国人には岸田政権が唱える「分配路線」が極めて評判が悪い。国内勢にだって「成長、改革が先ではないか」との声がある。総選挙は与党の楽勝ムードが消えた。与党と野党共闘区の闘いは激戦だ。ほぼ互角という。株価はそれを先読みしている、との見方もあろう。

 ともあれ、今月末の選挙結果が判明するまでは本格的に動けない。機関投資家の多くが様子見だろう。個人投資家の資金の回転は速い。当然だが、先物の影響力が強まる。指数は乱高下を繰り返すことになる。やはり、この局面は銘柄を絞り込んでの小すくい戦術が有効と判断する。

 具体的には好業績、かつテーマ性内包のエンビプロ・ホールディングス <5698> 、フルヤ金属 <7826> [JQ]、好業績の新日本科学 <2395> 、木材関連のセブン工業 <7896> [東証2]、材料含みの丸順 <3422> [東証2]、東邦亜鉛 <5707>など。丸順はPER5倍台と出遅れが著しい。EV(電気自動車)関連の切り口がある。

 このほか、株価の値動きに着目すると、抜群に強いグローバルウェイ <3936> [東証M]、サインポスト <3996> 、アールプランナー <2983> [東証M]、アイドマ・ホールディングス <7373> [東証M]のほか、ブイキューブ <3681> などが狙い目だろう。

 なお、日本はともかく、世界的には投資資金が健在だ。 暗号資産のビットコインが20日に、6万7016ドルの最高値を示現、暗号資産取引所の運営会社のコインベース・グローバル<COIN>の株価が急騰している。

2021年10月22日 記

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