【市況】上値重い日本株市場だが、好業績期待株を拾う好機か?<東条麻衣子の株式注意情報>
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
欧米株の強さに反し、日経平均株価は上値の重い展開が続いている。その背景には、日本株市場で売買代金シェア7割を占めると言われる海外投資家の動向がある。
■日銀の投資対象
日銀が買い入れている上場投資信託(ETF)の対象を、225連動型からTOPIX連動型に変更したことが日経平均株価の上値を抑える一因となっている。これまで株式市場の下落時には日銀による買い支えが期待できることもあって、海外投資家は225に偏重投資してきたが、TOPIX連動型への変更によりポジション調整を進めざるを得ず、日経平均株価が上昇すれば売りが出てくるという状況なのではないだろうか。
■海外投資家の売買動向と日経平均株価の月足
毎週発表される投資部門別売買動向による海外投資家の売買(現物株と先物の合計)と日経平均株価の月足の推移は以下の通りである。
2021年1月 5753億円の売り越し(ほぼ十字足の陽線)
2021年2月 4430億円の買い越し(陽線)
2021年3月 4317億円の売り越し(十字足に近い陰線)
2021年4月 1316億円の買い越し(陰線)
2021年5月 4176億円の売り越し(十字足に近い陰線)
2021年6月 1745億円の買い越し(十字足に近い陰線)
年初来で見れば海外投資家は6755億円の売り越しである。これを見てお気づきのように、今年に入ってからは売り越しの月と買い越しの月が交互に繰り返されている。この動きが続くのであれば、7月は売り越しとなる可能性がある。また、4月以降は買い越しの月であっても、買い越し額は2000億円に満たない状況だ。
こうした海外投資家の動きに変化が出るまでは、現在のような上値の重い状態が続くのではないか。
■個別銘柄
日銀がETF買い入れ方針の変更を決定した3月19日からの東証1部における騰落銘柄数の平均は以下の通りである。
値上がり銘柄数 1020
値下がり銘柄数 1089
値下がり数が若干多いものの、大きく優勢であるとも言いがたい。今月下旬からは日本でも4-6月期の決算発表が本格化する。比較対象となる前年はコロナウイルスのパンデミックが広がり始めた時期にあたるため、業績改善が鮮明となる企業が多くなる可能性が高く、決算発表の集中期間が近づくにつれて海外投資家も売りづらくなろう。日経平均株価という指数で見れば買いにくい相場が続くのかもしれないが、この局面では好決算や業績改善が期待できる銘柄を丁寧に拾うのが良いのではないか。
◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。
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