【通貨】為替週間見通し:米国経済正常化への期待持続でドル買い継続も
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【先週・今週の概況】
■米国経済の早期正常化への期待高まる
先週・今週のドル・円は強含み。バイデン米大統領が提示した富裕層向けのキャピタルゲイン増税案が修正なしで法制化される可能性は低いとの見方が広がり、ドル売り・円買いは縮小。米国における新型コロナウイルスのワクチン接種拡大によって米国経済の早期正常化への期待が高まったことも、ドル買い材料となり、5月3日に109円70銭までドル高・円安に振れた。
5月7日のニューヨーク市場でドル・円は、一時108円台前半まで売られる場面があった。この日発表された4月雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に下回り、失業率は上昇したことから、米国の大規模金融緩和策は長期間維持されるとの見方が再び強まり、ドル売りが優勢となった。ただ、4月雇用統計は季節調整の影響を強く受けたとの見方や、イエレン米財務長官が「3カ月平均で見た場合、雇用は引き続き強い水準」と指摘したことから、リスク回避的なドル売り・円買いは一服し、108円59銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:107円64銭-109円70銭。
【来週の見通し】
■米国経済正常化への期待持続でドル買い継続も
来週のドル・円は底堅い値動きか。4月米雇用統計は予想を下回る内容だったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)は現行の金融緩和策を長期間維持するとの見方が広がっている。ただ、来週発表される経済指標がおおむね堅調だった場合、米国経済の正常化への期待はさらに広がり、ドル買い・円売りは継続するとみられる。リスク選好的なドル買い・円売りは一服したが、新型コロナウイルス向けワクチンの普及で米国経済指標の改善が目立つ。
先月発表された米1-3月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率6%台の伸びを記録した。また、4月分のISM製造業と非製造業の景況指数は予想を下回ったものの、いずれも60台を維持している。来週発表の4月消費者物価コア指数(CPI)が市場予想を下回った場合、長期金利は低下し、ドル安に振れる可能性があるが、4月小売売上高が市場予想を上回った場合、成長持続への思惑でドル買い・円売りが強まる可能性がある。米長期金利が下げ渋った場合、ドルを買い戻す動きが広がり、ドル・円は下げづらい展開となりそうだ。
【米・4月消費者物価指数(CPI)】(12日発表予定)
12日発表の米4月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.6%、コア指数は同+2.3%と、上昇率は3月実績を上回る見込みだが、市場予想を大きく下回った場合、金利安・ドル安要因に。
【米・4月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の4月小売売上高は前月比+1.0%と、3月の+9.7%から伸びは鈍化する見通し。3月は大幅な増加と記録したが、4月実績が市場予想と一致すれば、株高・ドル高の要因となり得る。
予想レンジ:107円50銭-110円00銭
《FA》
提供:フィスコ