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【特集】LTS Research Memo(7):2020年12月期も高成長が続き、過去最高業績を連続更新する見通し

LTS <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通し

2. 2020年12月期業績見通し
エル・ティー・エス<6560>の2020年12月期の業績見通しは、売上高で前期比31.9%増の5,000百万円、営業利益で同30.0%増の400百万円、経常利益で同17.4%増の350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.0%増の240百万円と期初計画を据え置いた。売上高は9期連続増収、各利益は4期連続の増益となり、過去最高業績を更新する見通しだ。

第1四半期の通期計画に対する進捗率は、売上高で27.5%、営業利益で40.1%となったが、直近3年間の平均進捗率は売上高で24.1%、営業利益で31.8%となっており、平均を上回る進捗ペースとなっている。前述したとおり、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微で、第2四半期も順調に進捗していることから、今後、新型コロナウイルスの再拡大により済活動がさらに冷え込むことがなければ、計画を達成できるものと弊社では見ている。

営業利益の増減要因を見ると、費用増要因としては人件費で650百万円、採用費で91百万円、外注費で590百万円、のれん償却費で13百万円(ワクトのみ)となり、これらを増収効果で吸収する格好となる。人件費の増加分の約4割はワクトの通年寄与による増加で、残りの大半は同社における給与改定並びに人員増によるものとなっている。また、外注費の増加についてはワクトで大半を占めている。なお、ワクトの従業員数は50名程度で、大半はエンジニアとなっている。また、イオトイジャパンについてはコンサルタント2名と間接スタッフ2名となる。

(1) プロフェッショナルサービス事業
プロフェッショナルサービス事業の売上高は前期比30.9%増の4,800百万円、営業利益は同12.2%増の350百万円となる見通し。売上高はワクトの通年寄与の影響が大きいが、給与改定を含めた人材投資やオフィス関連への投資を実施するため、利益の伸び率は前期からやや鈍化する見込みとなっている。

2020年12月期の重点施策について見ると、顧客基盤においては主要顧客(デジタル先進企業群)との関係構築をさらに強化していくほか、新規顧客(デジタル本格活用前/活用中企業群)の開拓を進めていく方針となっている。また、人材組織基盤については、グループ全体の社員数増加ペースを年間50名規模に拡大していくことを目指している。コンサルタント、エンジニアともに同程度の割合で増やしていく方針となっている。ここ数年、コンサルタント人員数については横ばい水準にとどまっており、同社の経営課題の1つとなっていたが、新人事制度の施行により、採用力の向上と教育施策の充実を図ったことで増員が進むものと期待される。

なお、コンサルティング業界ではコンサルタントの離職率が10%台後半と高いが、同社の場合は5~8%と低い水準となっている。外資系大手コンサルティング会社ではコンサルタントの評価基準として、業績結果だけで判断されることが多いが、同社においては業績結果だけでなく、顧客企業に対してどのような価値を提供できたか、社内にその価値を還元できたかという定性的な面での評価を行っていること、また、個々のコンサルタントのスキルアップのための環境も整備していることが、離職率の低さにつながっているものと見られる。一旦、外資系コンサルティング会社に転職したコンサルタントが同社に復職するケースもある。コンサルティング企業にとって成長を図るうえでの最も重要な資産は人材であり、今後の動向が注目される。

(2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業の売上高は前期比73.4%増の280百万円、営業利益は50百万円(前期は4百万円の損失)と大幅増収増益を見込む。売上高については「コンサルタントジョブ」の拡大に加えて、「アサインナビ」の無料会員向けサービスの見直しや、2020年7月にリリースする予定の新サービス「CS Clip」の貢献が期待される。利益面では新サービスへの投資が増加するものの、増収効果でカバーして2期ぶりに黒字に転じるものと予想される。

「CS Clip」のサービスは、DX企業に対して月額固定料金と問い合わせ件数に応じた成果報酬手数料を組み合わせたモデルで提供している。DXに取り組む企業から見れば、AI/RPAなどのツールを提供する会社が多く、どの製品・サービスが適しているのか選択するのが難しい状況になってきている。こうした悩みを解消するため、DX企業の製品・サービス等の評判・評価を収集して可視化することで、企業が最適な製品・サービスを選択できるようにする。サービス開始当初は無償でリリースし、来年の春以降から有償化を目指しており、登録するDX企業の会員数で50~100社程度を想定、1年後には5百~1千社、年間売上高目標については、今後発表する予定としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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