【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):東エレデバ、リプロセル、DCM
東エレデバ <日足> 「株探」多機能チャートより
東京エレクトロン デバイス<2760>が大幅高で連日の年初来高値更新。きょうは物色人気が加速し一時400円を超える上昇をみせる場面があった。時価は2004年以来約16年ぶりの高値圏にある。同社は電子部品を扱うほか設計受託も行う半導体商社で、筆頭株主は半導体製造装置国内トップの東京エレクトロン<8035>で同社の約34%の株式を保有する。世界的な半導体市況の回復を背景に同関連株は軒並み買われる流れが続いており、東エレクはきょうも上値指向で上場来高値に買われた。グループ会社の同社も半導体市況回復に伴う恩恵が大きい。理化学研究所向けでスーパーコンピューターに絡む案件も有しており、「TOP500」が発表した最新の計算速度ランキングで「富岳」が9年ぶりに世界一の座を射止めたことが報じられるなか話題性も内包している。
■アース製薬 <4985> 8,210円 +480 円 (+6.2%) 本日終値
アース製薬<4985>が5連騰で上場来高値を更新。29日の取引終了後、第2四半期累計(1~6月)連結業績予想について、売上高を1055億円から1095億円(前年同期比5.3%増)へ、営業利益を104億円から160億円(同2.2倍)へ、純利益を69億7000万円から108億円(同2.3倍)へ上方修正したことが好感された。5月以降の気温が高めに推移するなど天候に恵まれたことを受けて、主な収益源である虫ケア商品の売上高が計画を上回ることが要因。また、新型コロナウイルス感染症の影響で家庭用マスクの特需が発生したほか、在宅勤務の広がりなりなどにより、暮らしに快適さをプラスする日用品の売り上げが想定を上回るとしている。さらに、広告宣伝費や販促費の運用効率化に向けた取り組みや、コロナ下での活動制限による旅費交通費や交際費などの費用が減少することも寄与する。
■リプロセル <4978> 454円 +21 円 (+4.9%) 本日終値
リプロセル<4978>が4日ぶりに反発。iPS細胞を活用した創薬ベンチャーで、独自技術を強みに製薬会社向けの受託事業を展開している。29日取引終了後、個人向けiPS細胞作製サービス「パーソナルiPS」の提供を開始することを発表しており、これが買いの手掛かりとなった。同サービスはコップ1杯の尿でiPS細胞を作製するというもので、免疫拒絶反応の問題を回避できるとともに、治療までの準備期間を短縮できるメリットがある。将来のけがや病気に対応した「自分への備え」として個人を対象に幅広くニーズを取り込む可能性がある。
■DCMホールディングス <3050> 1,236円 +54 円 (+4.6%) 本日終値
DCMホールディングス<3050>が3日続伸し年初来高値を更新。29日の取引終了後に発表した第1四半期(3~5月)連結決算が、売上高1258億1600万円(前年同期比8.6%増)、営業利益116億600万円(同70.4%増)、純利益81億4900万円(同75.0%増)と大幅増益となったことが好感された。外出自粛や在宅勤務で生活スタイルが変化し、家庭内需要が増加したことを受けて、既存店売上高が9.0%増となったことが牽引役となった。また、販促活動の自粛により、広告宣伝費が減少したことも寄与した。なお、21年2月期通期業績予想は、売上高4381億円(前期比0.2%増)、営業利益210億円(同0.8%増)、純利益130億円(同5.7%減)の従来見通しを据え置いている。
■ケーヨー <8168> 739円 +26 円 (+3.7%) 本日終値
ホームセンター大手のケーヨー<8168>が大幅続伸し、連日で年初来高値を更新した。29日取引終了後に発表した21年2月期第1四半期(3~5月)の経常利益(非連結)は前年同期比6倍の27億8500万円に急拡大して着地。上期計画(18億円)を大幅に上回っており、業績上振れを期待する買いなどが向かった。新型コロナウイルスの感染拡大でマスクや透明シートといった感染症対策用品に特需が発生したうえ、巣ごもり需要を背景にDIY・園芸用品やトレーニング用品などの販売が伸びた。また、DCM棚割導入による利益改善効果が継続したことに加え、広告宣伝費の減少や店舗オペレーションの改善、営業時間短縮による人件費の減少なども大幅増益につながった。
■ツガミ <6101> 899円 +30 円 (+3.5%) 本日終値
ツガミ<6101>が急動意、5日ぶりに大幅高に買われ5日移動平均線の上に株価を浮上させてきた。工作機械業界は新型コロナウイルスの影響による企業の設備投資需要の減退で収益環境は厳しい状況にあったが、ここ最近は主要需要先の中国での経済活動再開の動きが工作機械の受注動向にも変化を与えている。中国では月次動向から新車販売台数や建機、産業機器などの需要回復が確認されており、工作機械業界もこれに伴う受注獲得の動きが徐々に出始めている。自動車向けで高いシェアを持つ同社株も足もと見直し買いや空売り買い戻しが観測される状況にある。
■ナブテスコ <6268> 3,320円 +100 円 (+3.1%) 本日終値
ナブテスコ<6268>が5日ぶり反発。ここ調整色を強めていたが前日の全体相場急落局面でほぼ十字足を示現、きょうは日経平均の切り返しに歩調を合わせマドを開けて切り返しに転じた。精密減速機で世界的にも断トツのシェアを誇るが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う設備投資需要の減少がマイナス材料とみられていた。しかし、1~3月期の営業利益は前年同期比33%増と好調で、20年12月期通期見通しも前期比26%増の320億円を見込んでいる。自動車向け需要が堅調を維持しているほか、落ち込みが懸念されている航空機向け需要も、墜落事故を起こした米ボーイング小型機「737MAX」の試験飛行開始の報道を受け、思惑買いを誘った。
■宇部興産 <4208> 1,852円 +55 円 (+3.1%) 本日終値
宇部興産<4208>が反発。岩井コスモ証券は29日、同社株の投資判断「B+」を継続した。目標株価は2050円(従来2150円)としている。20年3月期の連結営業利益は前の期比23.6%減の340億3300万円と減益だった。化学事業でナイロンやナイロン原料となるカプロラクタムが中国需要の減少を受け不振だったほか、合成ゴムや電池材料も落ち込んだ。21年3月期も新型コロナウイルスの影響が響き、同利益は260億円(前期比23.6%減)の見込み。ただ、今上期で最悪期を脱出し、下期からの回復を予想している。1株当たりの配当も90円を据え置く計画だ。株価は、足もとの配当利回りで4.9%前後、連結PBRは0.5倍台の水準にあり、割安感が指摘された。
■リンテック <7966> 2,558円 +68 円 (+2.7%) 本日終値
リンテック<7966>が大幅反発。午前11時ごろ、脱プラスチック需要に対応したラベル素材とラミネート素材を開発し、新ブランド「PLALESS」シリーズとして7月1日に発売すると発表しており、これが好感された。新ラベル素材は、クリーニングタグにも使われている独自の特殊紙製造技術と粘着応用技術を融合させることで、耐水性に優れた紙を表面基材に使用。一方のラミネート素材は木材パルプを原料とするセロハンを使用したのが特徴という。同社では脱プラスチック需要が高まるなか、代替素材として、日用品・化粧品・食品をはじめとする各種商品の表示ラベルやPOP・アイキャッチラベル用などに提案していく。
■シーアールイー <3458> 1,537円 +37 円 (+2.5%) 一時ストップ高 本日終値
シーアールイー<3458>が急騰し実質上場来高値を更新。29日の取引終了後、20年7月期の連結業績予想について、営業利益を25億円から39億円(前期比2.4倍)へ、純利益を13億円から24億円(同3.4倍)へ上方修正したことが好感された。当初予定していた「ロジスクエア川越2」の売却を来期以降としたため、売上高は436億円から410億円(同71.3%増)へ下方修正したものの、好調な物流不動産投資市場に加えて、第4四半期に売却予定の「ロジスクエア千歳」「ロジスクエア上尾」及び「ロジスクエア三芳」の寄与や、適切なコンストラクション・マネジメントによる開発費用の削減及び適切な賃料によるテナント誘致などから、利益率が計画を上回るとしている。
株探ニュース