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【市況】明日の株式相場戦略=意外高の宝庫、陸運や食材周辺に勝機

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(22日)の東京株式市場では日経平均が3日続落となり、一時1万9000円台を割り込む場面があった。後半下げ渋ったとはいえ、前方に見える空の色は暗い。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、グローバル規模で推し進められている経済活動への制約が、企業業績や景気に多大なる影響を与えている。これは頭では分かっていても、いざ数字として目の当たりにすると動揺を隠すことができない。今の株式市場におけるマーケット心理はちょうどそういった時間帯に差し掛かっている。今後、決算発表本格化を控え、いやがうえにも神経質な相場展開を覚悟しなければならない。基本として決算発表直前は手元流動性を高め、発表後の値動きが一巡してからおもむろに動き出すというのが投資スタイルとしては有効である。そうでなくても今は原油市況の大波乱が、企業やファンドの破綻などを通じ思わぬ形で経済的ダメージをもたらす可能性があるだけに、相場と対峙する際には慎重かつ機動的に対処し、無理をしないということが一番だ。

 個別株もバイ&ホールドで成果を出すには苦労する地合いが続く。しかし、日々の相場で物色の流れをよく見極めることで変化に対応していく。原油の暴落についてもネガティブ一辺倒ではなくプラスの側面に目を向けることはできる。例えば、原油安で燃料コストの低下につながる運輸関連セクター(空運、海運、陸運)には純粋に追い風材料となる。空運については旅客数の激減があまりにひどいし、海運についても人・モノともに需要が蒸発してそれに近いものがある。ただ、海運は余った原油の貯蔵先としてのタンカーの存在が思わぬ形で株価の刺激材料となり、明治海運<9115>や共栄タンカー<9130>などはストップ高に買われる人気となった。もちろん、これは過去に例のない特殊なケースだ。オイルショック時のタンカー備蓄の記憶が蘇るが、今回は皮肉にも原油の捨て場所に困るという真逆の環境下で投資マネーの琴線に触れた。

 では、陸運はどうか。米アマゾンが我が世の春を謳歌するようにECビジネスはまさに全盛であり、それに絡む倉庫や配送といった物流関連に商機をもたらしている。巣ごもり消費のテーマにも乗る。また、タイムラグはあっても、今の原油価格の逆バブル的な下落はガソリン価格にも反映され、利益採算を大幅に向上させる。小売業界に特化した物流一括受託(3PL=サードパーティー・ロジスティクス)を手掛ける丸和運輸機関<9090>が上場来高値圏でなお力強く上値を指向しているのは、今の腰砕け状態の相場にあって輝きを放っている。時価総額は大きいがSGホールディングス<9143>なども中小型成長株顔負けの強い動きだ。そして要マークといえるのが、アマゾン関連株の色が強い遠州トラック<9057>。株価は4000円台指向とみておいてよいのではないか。

 このほか、食材関連株にも意外性がある。今月8日付で取り上げたショクブン<9969>は食材の宅配を手掛ける企業。13日に466円の高値をつけた後、調整を入れていたが再び切り返しに転じてきた。出前館<2484>などもショクブンと波動が似ている。このほか、食材関連周辺では和菓子や弁当などの包装資材を手掛けるcotta<3359>なども注目しておきたい。更に昨年12月に東証2部に新規上場したニューフェース銘柄で酒類などを販売するカクヤス<7686>も上値思惑を漂わせている。

 日程面では、あすは2月の景気動向指数確報値。2年物国債の入札など。海外では4月の米製造業PMI速報値、3月の米新築住宅販売件数などが注目される。また、欧州では4月の仏製造業PMI,4月の独製造業PMI、4月のユーロ圏製造業PMI,4月の英製造業PMI(いずれも速報値)などが発表される。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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