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【特集】鈴木英之氏【下げ一服の東京市場、反転相場入りの可能性は】(1) <相場観特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

―新型コロナで恐怖感の拭えない相場、夜明けはくるか―

 週明け23日の東京株式市場では、日経平均株価が3日ぶりに大きく反発に転じた。ここまで新型コロナウイルス の影響で世界経済が失速することへの警戒感が強烈な下げ相場を先導してきた。東京五輪延期の可能性が高まったことも日本株市場にとってはネガティブ材料として意識されるが、目先的には下げのスピードが速く、過剰に売り込まれた反動も見込まれる場面だ。果たして、ここから東京市場はどういう軌跡を描くのか。先読みに定評のある市場関係者2人に相場展望を聞いた。

●「令和2年の試練に、歴史の転換点にも」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 元号が変わった2年目には、不思議なことに金融市場の歴史に残る大事件が起こっている。昭和2年は「金融恐慌」があり、平成2年には「バブル崩壊」があった。そして令和2年は「コロナショック」が起こっている。この危機をうまく乗り切れるかどうかは、その後の歴史に長期的な影響をおよぼしかねないだろう。

 新型コロナウイルスの感染拡大のようなパンデミック(世界的大流行)を背景にした金融市場の急落は、過去に経験したことがないものだ。中国を震源地とした新型コロナの感染拡大は、イランや韓国を経て、イタリアやスペインなど欧州、そして米国へと波及している。この感染拡大がどこで抑えられるかが焦点だ。もし日本がこのまま感染者や死亡者を抑えられたままで推移すれば、日本株の見直し要因となることも期待できる。北半球は冬を越し春を迎えていることもあり、感染者数に変化が出てくるかどうかが注目される。

 欧米では4-6月期の国内総生産(GDP)が2割近い減少もあり得るとみられ、この状況下で業績予想をたてることは難しい。当面は4月1日の日銀短観や同月下旬からの決算発表が焦点となる。同月中旬のスーパーや百貨店などの決算も注目されるだろう。東京五輪は中止ではなく延期することが決まれば、いったんは悪材料出尽くしで反発の要因となるだろう。

 4月下旬を視野に入れた日経平均の下値のメドは、最悪シナリオとしてリーマン・ショック時を意識したPBRやPERを前提に1万4900円前後とみている。反発に転じた場合の上値は、1万8900円前後を想定している。

 4月下旬からの決算発表では、業績見通しが示されるかにもよるが、時価総額の大きいトヨタ自動車 <7203> など自動車株や東京エレクトロン <8035> など半導体株が決算を発表すること自体が、全体相場を落ち着かせる要因となるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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