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【特集】【仮想通貨2020】再びのビットコインバブルはあるのか? <新春特別企画>

山岡和雅(minkabu PRESS 外国為替担当 編集長)

山岡和雅(minkabu PRESS 外国為替担当 編集長)

◆もろさと強さの二面をみせたビットコイン

 2019年初め、ビットコイン市場には非常に重苦しい雰囲気が見られた。17年12月に史上最高値である235万517円(国内取引所平均価格・以下同じ)をつけたビットコインは、約1年後となる18年12月16日に35万5047円と、約200万円、変動率で約85%の大幅な下落を喫した。

 17年から18年初頭にかけてビットコインバブルが巷を賑わせ、“億り人”などの言葉も生まれた18年初めの明るい状況から、わずか1年後の19年初めには、市場に諦めムードすら漂っていた。

 しかし、19年のビットコインは力強さを発揮した。1月に安値をつけた後も春頃まで安値圏で冴えない動きを続けたビットコインだが、4月に入って息を吹き返したかのように急上昇を開始。特に理由もないまま6月には150万円近辺まで駆け上がり、2カ月ちょっとで3倍以上という大幅な上昇を演じ、ビットコイン健在との印象を与えた。

 ただ、目立った理由のない上昇だけに、調整が入るともろい面があり、その後はもみ合いながら頭の重い展開となった。12月には70万円近辺と、高値から半値以下にまで値を落とすなど、荒っぽい相場展開となっている。

◆広がりみせるか、投資家の資金流入

 こうした状況を経て、2020年のビットコイン相場はどうなるのか。フェアバリューのないビットコインの先行きを予想することは難しいが、再びバブルを迎える可能性は十分にあるとみている。

 理由は二つある。

 一つは、19年に見せた不安定な相場展開そのものである。

 19年外国為替市場でドル円は、変動相場制が始まって以来という狭い値幅(7円94銭)を付ける展開となった。それまでの記録は、その前年18年であり、2年続けてよく言えば安定した(値動きを期待する投資家からするとつまらない)相場展開が続いた。

 金利(FXだとスワップポイント)を狙ってじっくりと腰を据えての投資ならばともかく、一攫千金を狙うような取引には全く向かない展開であった。ハイリスクハイリターン投資を勧めるわけではないが、そうした投資手法を志向する投資家層が一定以上いるのは事実。19年年初の状況であれば、そうした投資家層の触手がビットコインに向くことはなかったが、19年の上下動を見た後だけに、上昇のきっかけさえ見られれば、一攫千金を狙う投資家の資金がビットコイン市場に一気に流れ込むことは十分に起こり得る。

 また、成長してきたとはいえ、株式や外国為替市場と比べるとまだまだ規模が小さいビットコイン市場。投資資金が集まる兆しが見られ、資金流入が活発になると上昇が止まらなくなる可能性は十分にあるとみている。

 マネックス、GMO、DMMなどに加え、楽天、ヤフーグループといった投資家層以外にも知名度が高い企業の参入もあり、これまで仮想通貨に興味を持たなかった層の参入も十分に期待できる土台ができてきているだけに、20年の上昇を期待したいところである。

◆明らかな上昇期待材料「半減期」の到来

 もう一つの、そしてより重要な理由が20年5月頃に予定されている半減期である。

 ビットコインはマイニング(採掘)と呼ばれる新たなブロック生成により新規発行が行われる。ビットコインの開発者であるサトシナカモトは、ビットコインの希少性を確保し、インフレを防ぐために、マイニングを実施するマイナーに対するインセンティブ(報酬)が段階的に半減するようにプログラムしている。

 当初は1ブロックの生成に対して50ビットコインが与えられていたインセンティブは、12年11月、16年7月の二度の半減期を経て、現在は12.5ビットコインとなっている。そして、20年5月頃とみられる3度目の半減期で6.25ビットコインとなる。

 この半減期によって相場に何が起こるか。過去二回の半減期前後では供給減少を意識してビットコイン価格は大幅に上昇した。その上昇幅は12年の時で約80倍、16年で約4倍というペースであった。もちろん、半減期以外の上昇要因の影響を排除した比率ではなく、半減期=上昇という構図は成り立たない。また、過去二回という少ない例で、次もそうなるという見方はさすがに荒っぽいだろう。

 しかし、フェアバリューがなく、投資家心理だけで上下する仮想通貨市場において、明らかな上昇期待材料の与える影響はかなり大きい。市場が大きくなっている以上、12年の80倍はともかく、16年の4倍もさすがに無茶に見えるが(70万円で計算しても4倍になると史上最高値を大きく更新する)、それなりの上昇は十分に期待できる。

 株式や外国為替市場では、将来的に明らかな材料があった場合、その時期を待つのではなく、相場は事前に織り込みを進める。ビットコインにおける半減期もそうだとすると、すでに買いが入っていたとしてもおかしくはない。ただ、ビットコイン相場がそこまで成熟しているかどうかは疑問がある。

 また、「半減期=上昇」という構図が絶対でないうえに、相場の不安定性から、実際の時期よりも相当前から買いを仕込みにかかると、理由も無い急落にさらされた時に耐えられないという事情もあり、織り込みは限定的なものにとどまっていると予想している。

 半減期が期待される5月の少し前辺りから、相場が活性化する可能性は十分にあるとみている。19年4月からの上昇にもあるように、一度勢いづくと止まらないのがビットコイン相場。半減期をきっかけにした大幅上昇の可能性は十分にある。

 なお、すでに織り込み済みで上昇は限定的、逆に失望感から下がるのではとの見方や、今回のインセンティブ半減が、マイナーの採算性を一気に悪化させて市場からの逃避が起きることで、逆に売り材料となるという見方もある点には注意したい。上下ともに可能性があるのがビットコイン相場である。

2019年12月26日 記


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