【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ NYダウの史上最高値更新がカギ
株式評論家 植木靖男
「NYダウの史上最高値更新がカギ」
●米中暫定合意を待つ市場
キンモクセイが強い香りを放ち、秋の気配が濃くなってきた。日経平均株価は2万3000円を目前にして、やや躊躇している感があるが、買い方陣は意気軒昂そのものである。いざ出陣ともなれば、一気に敵陣に攻め込む気構えだ。
では、出陣の狼煙はなんであろうか。いうまでもなく、NYダウ平均の7月史上最高値2万7398ドル突破であろう。NYダウが史上最高値を突破すれば、為替市場でドル高・円安が進み、つれて日本株は海外ファンドの買いを中心に一気に2万3000円大台を確かなものとしよう。これが市場が描くシナリオである。
この可能性はかなり高いとみてよさそうだ。欧米の多くの機関投資家が注視しているS&P500はすでに史上最高値を更新している。
ともあれ、NYダウ、ドル・円、そして日経平均はリンクしていて、このつながりは切れることはなさそうだ。
NYダウの史上最高値突破は、世界の株式市場の悲願であろう。
材料面からはどうか。米国金融政策は3回の利下げを実施。残る好材料は、やはり米中通商協議の暫定合意を待つ格好だ。米中首脳会談の場所、日取りが公表されれば即、株価は反応しよう。こうしたシナリオが実施されれば、NYダウは2万8000ドル台、日本株は2万4000円台にチャレンジすることもあり得よう。
●テーマ株、3銘柄に注目
だが、一方で不安もある。NYダウはあと一歩で史上最高値を上抜く位置にあるとしても、このあと一歩が相場の世界では一筋縄ではいかず、過去何回も辛酸をなめたことがあるのだ。気を引き締めたい。
11月1日朝の東京市場の寄り付きは196円安の2万2730円と大きく売られた。この水準で引けていれば、売りシグナルが灯るところであった。かろうじて引けは2万2800円台で、買い方陣にとっては命拾い、冷や汗をかいたことであろう。
こうした混乱は物色の変化によるものか。8月以降、株価上昇を牽引してきた一部ハイテク株で突如、動きが鈍ってしまった。
今後、物色の流れが変わるのか、まだ定かでないが市場はしたたかだ。次の柱がはっきりするまで、医薬品、陸運、不動産、建設土木などに打診買いを入れ始めた。幕間つなぎということもあり、慎重な対応が求められよう。
さて、今回は次の3銘柄に注目したい。テーマ株だ。
まずは、ここへきての台風。その被害の大きさから政府は激甚災害に指定した。今後、河川堤防などの強化、見直しは必至だ。建設技術研究所 <9621> が飛び出してきた。建設コンサル大手だ。業績もよい。
そして、不動産株の周辺が騒がしくなってきた。五輪後の首都再開発が注目される、三井不動産 <8801> だ。
また、出遅れ陸運株として東武鉄道 <9001> も面白そうだ。
2019年11月1日 記
株探ニュース