【材料】アウトソーシング---3Qは2ケタ増収、10期連続で売上収益の過去最高を更新
アウトソシン <日足> 「株探」多機能チャートより
アウトソーシング<2427>は10月31日、2019年12月期第3四半期(19年1-9月)連結決算(IFRS)を発表した。売上収益が前年同期比21.0%増の2,674.94億円、営業利益が同12.0%増の100.95億円、税引前利益が同10.4%減の69.98億円、四半期利益が同16.9%減の39.14億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が同15.9%減の33.92億円となった。
事業ポートフォリオや地域ポートフォリオを分散する戦略が功を奏し、製造業をとりまく景況感の悪化や後退局面入りへの懸念が鮮明化するなかにあっても、第3四半期連結累計期間として10期連続で売上収益の過去最高を更新し、営業利益も過去最高を塗り替えた。
なお、2019年12月期からその他の営業収益が前年同期比で急増しているが、これは当期から適用された会計方針変更(IFRS第16号)の影響である。会社が借り上げた社員寮にて従業員から受け取る寮費を、前期までは売上原価において相殺し、当期からはその一部が家賃収入としてその他の営業収益への計上に変更された。売上原価の相殺額が減ったために売上総利益率が悪化したものの、実質的な収益構造に変化はない。
国内技術系アウトソーシング事業の売上収益は前年同期比29.8%増の666.99億円、営業利益は同9.7%増の44.35億円となった。KENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームが順調に進捗し、採用コストを抑制しながら採用人数を伸ばし順調に業容拡大した。売上面では、時間外労働の上限規制に際し、残業減少が一定程度見受けられ、利益面では、約1,600名の新卒が入社して配属までの教育研修コストが上期に発生したが、すでに配属を完了し、下期から大きく利益貢献している。
国内製造系アウトソーシング事業の売上収益は同19.0%増の531.06億円、営業利益は同6.5%増の46.62億円となった。PEOスキーム戦略の進捗により製造派遣・請負の業容拡大を図ったが、景気減速の影響を大きく受けて足もとの成長は足踏みとなった。管理業務受託は、顧客メーカーの外国人技能実習生の活用ニーズが引き続き高まっている。
国内サービス系アウトソーシング事業の売上収益は同9.2%増の146.33億円、営業利益は同43.1%増の14.94億円となった。福利厚生施設向け人材派遣のみならず、米軍施設の建設物や設備の改修・保全業務が堅調に伸長した。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保険)が義務付けられることが通例であり、同社の信用力を活かしてボンド枠を拡張して利益率の高い大口受注へと繋げた。
海外技術系事業の売上収益は同29.6%増の330.18億円、営業利益は同96.9%増の22.49億円となった。先進国での安定的な公共向けを中心としたIT等の技術系アウトソーシング事業が順調に進捗した。
海外製造系及びサービス系事業の売上収益は同16.0%増の995.90億円、営業利益は同25.7%減の18.82億円となった。アジアの日系メーカーとその他地域で取引する欧米系メーカーへの顧客紹介等のクロス営業の強化に加え、人材不足の国に対して人材の余剰感のある国からスタッフを送る人材流動化スキームがグローバル規模で進捗し、業容拡大を下支えした。しかし、ドイツをはじめとする景気減速や、東南アジアにおける不採算事業のリストラクチャリングによる一過性のコスト等により伸び悩み、減益となった。
2019年12月期通期の連結業績予想については、売上収益が前期比23.7%増の3,850.00億円、営業利益が同30.2%増の190.00億円、税引前利益が同39.4%増の175.00億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同33.7%増の100.00億円とする期初計画を据え置いている。
《MH》
提供:フィスコ