【通貨】為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、10月追加利下げ観測は後退せず
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【先週の概況】
■ドル弱含み、米10月追加利下げ観測強まる
先週のドル・円は弱含み。米中貿易協議の進展が期待されたことでリスク選好的なドル買い・円売りが強まり、ドル・円は一時108円47銭まで買われた。しかしながら、10月1日発表の9月米ISM製造業景況指数は2カ月連続で節目の50を割り込み、10年ぶりの低水準に落ち込んだ。3日発表の9月米ISM非製造業景況指数も市場予想を下回ったことから、10月追加利下げを織り込むドル売りが優勢となった。ドル・円は3日の欧米市場で一時106円48銭まで下落する場面があった。
4日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時107円台前半まで戻した。この日発表された米9月雇用統計で、9月の非農業部門雇用者数は市場予想をやや下回ったものの、失業率は50年ぶりの低水準となる3.5%に低下したことから、景気後退の懸念は和らぎ、リスク回避のドル売りは縮小。米国の雇用情勢は特に悪化していないとの見方も広がり、ドル・円は106円91銭でこの週の取引を終えた。先週のドル・円の取引レンジは106円48銭から108円47銭となった。ドル・円の取引レンジ:106円48銭-108円47銭。
【今週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、10月追加利下げ観測は後退せず
今週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)による予防的追加利下げが引き続きテーマとなりそうだ。9月消費者物価指数(CPI)は、ほぼ前回並みの水準が予想されるが、利下げ観測を弱める材料にはならないとみられている。10月1日に発表された米国の9月ISM製造業景気指数は、経済活動の拡大・縮小の境目である50を2カ月連続で下回り、2009年6月以来となる47.8に落ち込んだ。3日発表の9月ISM非製造業景況指数も悪化しており、今月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)に向け追加利下げ観測が一気に高まっている。
9日に公表される9月17-18日開催分のFOMC議事要旨について、一部の市場関係者はFOMCの声明内容はタカ派寄りと受け止めた。ただ、FOMC声明には強気なトーンは含まれていなかったことから、議事要旨はドル買い材料にはなりにくいと予想される。10日発表の9月CPIはコア指数も含め、インフレ率は2%台前半の見通し。インフレ進行の兆候は確認できず、利下げ予想は継続しよう。
一方、ユーロ圏も弱い経済指標から景気減速が鮮明になり、欧州中央銀行(ECB)の一段の金融緩和を想定したユーロ売りは継続するとみられる。欧州連合(EU)からの合意なき離脱の可能性が残るなか、英国では景気減速が顕著で英中央銀行から利下げの主張も出始めた。英国金利の先安観台頭を意識してポンド売りが強まる可能性があり、欧州通貨売り・米ドル買いの動きが広がった場合、米ドル・円相場を押し上げる場面もありそうだ。また、10日から開催される閣僚級の米中貿易協議では何らかの進展が期待されており、米中対立の早期解消への思惑が広がれば、リスク選好的なドル買い・円売りが強まる可能性がある。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(9日公表予定)
9日に公表されるFOMC(9月17-18日開催分)は、10月追加利下げの可能性を探る手がかり材料となる。議事要旨に強気なトーンが示されなければドル売り要因となろう。
【米・9月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の9月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+2.4%でインフレ率は前回と同水準と予想されるが、市場予想と一致しても予防的な追加利下げの思惑を弱める材料にはなりにくいだろう。
予想レンジ:105円50銭-108円50銭
《FA》
提供:フィスコ