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【特集】Fブラザーズ Research Memo(3):首都圏・東北地方の商業・オフィス物件への不動産投資運用会社(2)

Fブラザーズ <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社概要

3. 市場動向
ファーストブラザーズ<3454>の賃貸不動産ポートフォリオは首都圏と東北地方の都市部に集中している。東京ビジネス地区(都心5区)の過去3年のオフィスの平均賃料は2016年5月から2019年5月までの3年間に年率5.9%で上昇。空室率も3年間で2.33ポイント低下し需要は旺盛だ。2018年には大量の新規供給(延床面積ベース、過去10年で2番目)があったが、賃料及び空室率に陰りは見られない。仙台(駅前、中心部、官公庁周辺、駅東口)においても、事務所の平均賃料は上昇基調、空室率は低下とその傾向は変わらない。

4. 強み
同社の強みは、国内の不動産証券化の黎明期から信託銀行や外資系AM会社などで当該分野に関わってきた、金融及び不動産のプロフェッショナル人材が多いことだ。2019年11月期第2四半期末時点の連結役職員数は74名であり少数精鋭だ。弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、一級建築士、不動産証券化マスターなどの有資格者も多数所属している。具体的には、有望な物件を冷静に見極める“目利き力”、豊富な経験によって培われる“バリューアップ力”が同社プロフェッショナルの特長となっている。比較的人材の流動性の高い不動産業界だが、コアとなる人材の定着率は高いと言う。

5. 資金調達
リーマンショック前後に多くの不動産会社がリファイナンスをできずに破綻に追い込まれたことから分かるように、不動産会社にとって資金調達は生命線である。同社では、コーポレートローンはすべて自己勘定投資の不動産に紐付け、物件の事情に合わせて適切な条件で調達してきた。現在の調達先には、メガバンクのほか、地銀や信金も含まれる。自己勘定投資におけるLTV※は2019年11月期第2四半期末時点で82.0%(東日本不動産買収に伴う短期ブリッジローン6,850百万円を含めたレバレッジ比率。同ブリッジローンは長期借入金に借換え予定)と過去数年80%台で推移する。

※Loan to Value:不動産の物件価値に対する負債(借入金など)の割合。借入残高÷賃貸不動産簿価。


自己勘定投資にかかるコーポレートローンについては、加重平均残存期間15.8年と超長期で調達しており、多少の金融環境の下降局面があっても持ちこたえられる備えができている。すべて変動で調達しているが、金利スワップ取引により賃貸不動産の取得に伴う借入金残高の60.8%の支払金利を固定化。また、日銀の超低金利政策が続くなか、加重平均借入金利は0.84%と低利で調達できている。超長期で調達していることもあり賃貸キャッシュ・フローは十分なプラス(賃貸収益が支払利息と元本返済の合計額を十分に上回っている)の状態を維持しており、金融機関の協力も得られやすい。この資金調達力は同社にとって大きな強みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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