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【特集】GMOメディア Research Memo(2):ポイントサイトのほかオンラインゲームのプラットフォームなどの運営を展開

GMOメディ <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社概要

1. 会社概要
GMOメディア<6180>はインターネット黎明期から一般消費者向けに様々なインターネットサービスを無料で提供、それらのサービスの顧客接点であるメディアを基盤とした広告事業を手掛けている。「For your Smile, with Internet.」※を企業理念として掲げ、関わるすべての人々に、インターネットを通じてsmileを浮かべてもらいたいという想いで事業を展開。ポイントサイトやHTML5ゲームプラットフォーム、各種ソーシャルメディア(ブログサービス、コミュニティサイト、掲示板)を運営している。自社のメディア媒体数は2018年12月末時点で10サイト、サービスの登録会員数は2,000万人を超えている。

※同社の創設の志を表したもの。「you」は、ユーザー・社員・株主・取引先、関わるすべての人を、「smile」は、笑顔・ほほえみ・幸福・満足・ここちよさを意味する。


2. 沿革
同社の前身はインターネット広告配信技術のベンチャーであるiWeb.com Ltd.(イスラエル)と、電通<4324>グループ及びソフトバンクグループ<9984>の合弁により2000年10月に設立されたアイウェブ・テクノロジー・ジャパン株式会社※で、2001年7月にインターキュー(株)(現GMOインターネット)が資本参加した。

※2000年12月に、電通のほか、電通ドットコム第二号投資事業有限責任組合、(株)サイバー・コミュニケーションズ、ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティング(株)(現SBメディアホールディングス(株))が資本参加し、事業展開を開始した。


2004年3月にGMOインターネットの子会社である壁紙ドットコム(株)(2001年1月設立)と合併し、社名をGMOモバイルアンドデスクトップ株式会社に変更。以後、GMOインターネットグループのメディア事業の再編・統合により、業容を拡大していく。2005年5月にはGMOメディアアンドソリューションズ(株)(2000年2月設立)から無料メーリングリストサービス「FreeML」(現「freeml」)事業及びポイントサービス「ポイントメール」(現「ポイントタウン」)事業を会社分割により承継し、社名をGMOメディア株式会社に変更。さらに、2007年8月にGMOメディアホールディングス(株)(2006年4月設立)からブログサービス「yaplog!」事業を会社分割により承継したほか、2009年4月にGMOティーカップ・コミュニケーション(株)(2000年8月設立)と合併し、掲示板サービス「teacup.」事業を承継、現在の事業基盤が整う。

2010年以降は、スマートフォンの普及によるインターネット業界の変化に対応し、アプリケーションエンジニアの強化・育成といったアプリシフト(スマートフォンへの対応強化)を同業他社に先駆けて行う。また、ビットコイン(暗号通貨)市場の拡大を見据えて、2014年12月に「ポイントタウン」のポイント交換対象としてビットコインを国内で初めて採用したほか、2016年3月にはオンラインゲームサイト「ゲソてん」にビットコイン決済を導入するなど、新たな取り組みにも積極的にチャレンジしている。同年9月には、ブラウザゲームネットワーク事業者のNo.1(Only1)となり、PCのブラウザ向けゲーム関連事業基盤を強固にすることを目的として、ソーシャルゲームプラットフォーム事業「aima※」(以下、アイマ)をACCESSPORT(株)から譲受した。また、2017年11月にはEdTech領域への参入を目的に、プログラミング教育に関する情報メディア「コエテコ」の運営を新たに開始している。創業来、インターネット業界の激しい変化に機敏に対応、業態を巧みに変化させながら成長を続けているのが特徴となっている。

※aimaはAlliance of Internet Media for Applicationsの略称で、「ちょっとした合間に楽しめるゲームアプリ」というメッセージも含んでいる。インターネットメディア運営会社とソーシャルゲーム開発会社をつなぐ、双方向にオープンなゲームプラットフォームとなる。同社は2016年11月にシステムリプレースを行い、「ゲソてん」の人気コンテンツを順次投入していくことでシナジーを追求している。



自社運営するメディアから得られる広告収益や課金収益が収益源
3. 事業内容
同社の事業セグメントは、メディア事業とその他メディア支援事業に分けられる。メディア事業は、自社運営するポイントサイトやHTML5ゲームプラットフォーム、ソーシャルメディアを通じて得られる広告収入や、ゲーム課金収入を獲得するビジネスモデルとなる。一方、その他メディア支援事業は、メディア事業で蓄積したノウハウやシステムを活用し、他社メディアの収益化を支援する事業となる。2015年12月期以降、売上構成比ではメディア事業が70%台、その他メディア支援事業が20%台で推移していたが、2018年12月期はメディア事業が60%台まで低下している。また、営業利益の構成比についてもほぼ同様の傾向となっている。同社ではメディア事業を主力事業として展開しており、その他メディア支援事業については付随的な事業として位置付けている。

(1) メディア事業
メディア事業は、ポイントインセンティブ等による「ECメディア」と、一般ユーザーの情報発信をサポートする「ソーシャルメディア」を軸にスマートフォン向けネイティブアプリとWeb(スマートフォン・PC)向けに多ブランドで展開しており、ユーザーは無料で利用可能となっており、広告収入で利益を得るビジネスモデルとなっている。メディア事業のサービス別売上高(2018年12月期)は、「ECメディア」が約24億円で77%、「ソーシャルメディア」が約7億円で22%を占めている。

a) ECメディア
ECメディアでは、国内最大級のポイントサイトである「ポイントタウン」と、HTML5ゲームプラットフォームの「ゲソてん」を運営している。

「ポイントタウン」は1999年にサービスを開始した老舗ポイントサイトで、2018年12月末の会員数は200万人を超えている。購買力のある、消費したい、得をしたいという欲求を持つ30代後半から50代前半の世代がコア・ユーザーとなっている。なお、足元で取り組んでいるスマートフォン対応の強化によりスマートフォン会員比率も2018年12月末時点で50%を超過しており(2017年12月末は44%)、それに併せて20代の若い世代にも会員層が広がっているものと見られる。「ゲソてん」では農場・経営ゲームやシミュレーションゲーム、カードゲームなど多くの無料ソーシャルゲーム(一部課金)を自社開発タイトルも含めて取りそろえている。

ビジネスモデルを見ると、同社はクライアントとユーザーの間に位置し、広告クライアントから代理店(ASP※)経由でサイト内に掲載されるポイント付き広告に対して、登録会員が申込みや購入等の一定の行動を取ることで広告収入は発生する。その広告収入の一部をユーザーにポイント還元した費用との差分が同社の収益となる構造だ。例えば、クレジットカード会社が会員を獲得する際に、入会ポイントを付与することが多いが、そうしたポイントの発行を「ポイントタウン」を通じて同社が行い、ユーザーに還元する流れとなる。なお、ユーザーが貯めたポイントは大手金融機関で現金に交換できるほか、主要電子マネーやビットコイン、同社が運営するHTML5ゲームプラットフォーム「ゲソてん」のアイテム等との交換が可能となっている。

※Affiliate Service Providerの略で、成功報酬型広告を配信するサービス・プロバイダ。


ECメディアの売上は「ポイントタウン」と「ゲソてん」からの収入となる。なお、売上高に影響する広告単価はクライアントごとに異なるほか、季節要因によっても変わってくる。広告枠は変わらないため、広告出稿ニーズの高い1月-3月期は需給がタイトとなり、広告単価も上昇する傾向となる。このため、同社の四半期売上高も例年、第1四半期がピークとなる。また、粗利益率は40~50%程度と推定される。

b) ソーシャルメディア
同社は運営するソーシャルメディアは、女性コミュニティサイト「prican(以下、プリキャン)」、コーディネート共有アプリ「CoordiSnap(以下、コーデスナップ)」、ブログサービス「yaplog!(以下、ヤプログ!)」、コミュニティサービス「teacup.(以下、ティーカップ)」、メーリングリストサービス「freeml(以下、フリー・エムエル)」、壁紙ポータルサイト「壁紙.com」のほか、直近では2017年10月よりプリキャン内に正式オープンした小説投稿サービス「プリ小説」などを運営している。「プリキャン」「ヤプログ!」「コーデスナップ」「プリ小説」は、スマホアクティブな10代~20代を中心とする若い女性向けのユーザー発信型メディアとして展開している。

ビジネスモデルは同社が運営するこれらソーシャルメディアに掲載された広告に対して、閲覧者が表示やクリック等を行うことにより広告収入を得るモデルとなっている。運営する各ソーシャルメディアの相互送客を強化し、新規会員獲得のためのプロモーション費用を抑制することで、安定した収益基盤を構築している。売上高の季節変動はECメディアと同様の傾向にある。また、ECメディアのようにユーザー還元がないため、粗利益率はほぼ100%となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

 提供:フィスコ

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