【市況】国内株式市場見通し:調整ムードが強まる相場展開に
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■中国の上昇を好感し日経平均は反発
前週の日経平均は上昇に転じた。週明け11日の日経平均は5営業日ぶりの反発で始まった。前週末8日のNYダウが2月雇用統計を嫌気して5日続落し、マイナスとなる場面もあったが、その前の週に日経平均は値幅で796.48円(4日から8日までの終値ベース)下げており、自律反発狙いの買いも流入したのに加え、その後のアジア株の上昇が支えとなった。個別では、日経平均への新規採用が発表されたオムロン<6645>が買い気配で推移してストップ高比例配分となった。12日の日経平均は大幅続伸となった。前日の米国市場で1月小売売上高が市場予想を上振れ、現在の政策金利が適切との認識をパウエルFRB(連邦準備理事会)議長がメディアで発言したことを好感して6日ぶりに反発したことから買いが先行した。アジア市場も堅調となって後場に入ると一段高に向いた。しかし、13日の東京市場は一転して売りが先行して日経平均は3日ぶりに反落した。航空機メーカーのボーイングの旅客機事故の影響などからNYダウが反落したほか、英議会の欧州連合(EU)離脱案否決や1月機械受注の悪化などの懸念材料が影響した。後場は前日比304.70円安まで下げる場面があったものの、8日以来となる日銀のETF (上場投資信託)買い入れもあり下げ渋った。14日はNYダウの反発と英国がEU(欧州連合)との合意なく離脱することに反対する動議を賛成多数で可決したことを好感して買いが先行してはじまったものの、中国の2月鉱工業生産と小売売上高発表後に上海総合指数が下げ幅を広げると日経平均も下げに転じた。15日の日経平均は3日ぶりに反発して終日プラスゾーンで推移した。中国の2月鉱工業生産の予想下振れで世界経済への減速懸念が再び意識され、貿易摩擦を巡る米中首脳会談が4月以降に延期、英議会でEU離脱期限延長案が可決されたことで模様眺めムードが広がり、14日のNYダウは小幅な続伸に留まった。しかし、為替相場がやや円安方向に振れ、景気刺激策に期待した中国株の上昇が手掛かりとなって主力半導体関連や中国関連株の上昇が寄与して日経平均は一時21500円台を回復したものの、北朝鮮が米国との非核化交渉の中断を検討という報道から為替が円高に振れて大引けにかけては伸び悩んだ。
■上海総合指数と為替動向が焦点
今週の日経平均は、手掛かり難のなか調整ムードを先行させる展開となりそうだ。19日からFOMCが開催され、20日のパウエルFRB議長の会見では、経済見通しが発表される見込みである。日本銀行が15日開催した金融政策決定会合では輸出、海外経済、鉱工業生産についての判断が下方修正された。株式市場の視点は米国金利から世界景気の動向へと移っており、FRB議長の会見の内容次第ではネガティブな反応が相場に現れる可能性もある。日経平均は上海総合指数など中国株の展開に反応を強めるなか、今週は中国の重要な経済指標発表が予定に無く、貿易摩擦を巡る米中首脳会談と英国のEU離脱期限はともに4月以降に延長となる見込みとなったことで、売り買いともに動きにくい展開となろう。21日に祝日(春分の日)をはさむことも相場的な手掛けにくさを強める要因だ。こうしたなか、15日の午後に入り伝わった「北朝鮮が非核化をめぐる米国との交渉について中断を検討」とのニュースは、地政学リスクの上昇を警戒させる新たな懸念材料だ。15日の第一報では相場への影響は限定的だったが、為替の円高・ドル安の進行材料として働くと、日経平均にはネガティブな影響が出てくるとみられる。
■期末と選挙を意識した展開の可能性も
一方で、3月の決算期末、年度末に向けた機関投資家や事業法人の決算対策売りは、ほぼ峠を越える頃で現物株による売り圧力は低下していく方向にあることは需給面でのプラス材料だ。テクニカル面でもマイナスムードには転じていない。14日にかけて日経平均の日足チャートは25日移動平均線を2日連続で割り込んだが15日には回復し、12日以降の5日移動平均線上も維持した。5日と25日の両移動平均線がサポートしている間は、上昇トレンド維持を期待できるだろう。3月末の配当、株式分割、株主優待の各種権利取り最終日の26日まで残すところあと6営業日で、権利取りの動きも相場の下支え要因として働くだろう。また、統一地方選が告示される週となることで政策面での影響が物色を刺激する可能性もある。
■FOMC、EU首脳会議、統一地方選告示
今週の主な国内経済関連スケジュールは、18日に2月貿易統計、2月首都圏新規マンション発売、19日に2月訪日外客数、20日に1月22・23日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、2月コンビニエンスストア売上高、21日は春分の日で東京市場は休場、22日に2月消費者物価指数がそれぞれ発表予定にある。一方、米国など海外経済関連スケジュールは、18日に米3月NAHB住宅市場指数、19日にFOMC(20日まで)、米1月製造業受注、20日にパウエルFRB議長会見(経済見通し発表)、21日にEU首脳会議(22日まで)、米3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米2月CB景気先行総合指数、22日に米2月中古住宅販売件数、23日に米2月財政収支が発表を予定している。
《FA》
提供:フィスコ