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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「下値抵抗線を注視の3月相場」

株式評論家 富田隆弥

◆米朝首脳会談が決裂し、2月28日の日経平均株価は171円安の2万1385円と下落した。だが、NYダウ先物は一時100ドルほど下げたもののすぐ前日の終値(27日2万5985ドル)近辺に戻している。元顧問弁護士のマイケル・コーエン被告が「トランプ大統領の犯罪関与」を議会で証言しても、ライトハイザー通商代表が「米中通商協議は深刻だ」と述べてもNYダウ先物はあまり反応せず、いまの米国株は根強い買いもので堅調地合いを形成していると言える。

◆それは為替相場も同じで、ドルの堅調地合いが続いている。2月28日に米国の10-12月GDP(速報)が前期比年率換算で+2.6%と事前の予想+2.2%を上回ると、 ドル円は111円台半ばに急伸(円安加速)するなど、為替のドルも「イイとこ取り」で買いを集めている。

◆この「米国買い」の流れが年初から続いているが、表現を変えれば行き場のない溢れた投資マネーが米国に集まっていると言える。需給相場であるのだから、チャートのトレンド(流れ)に変調を来たすまでこの流れが続いてもおかしくない。 NYダウは12月の急落から一転、強いV字回復で2万6000ドルを回復した。チャートでこのような一本調子の急回復はあまり例がなく、このペースなら10月3日の過去最高値2万6951ドルを突破してもおかしくない。ドル円なら112円台乗せのドル高(円安)もあり得よう。

◆ただし、チャートは「流れに従う」のが基本。どんなに強い相場でも「調整」は必ず挟むし、「転機」はどこかで必ず訪れる。その意味で下値ポイントになる下値抵抗線や25日移動平均線などのチャートチェックは怠れない。その下値ポイントを維持した上昇が続くうちは「押し目買い」「もたつき買い」「吹き値売り」などの買い主体の対応で構わない。しかし、下値ポイントを割り込むなら速やかに手を空かすなど「慎重」に動くことを頭に入れておきたい。

◆年初から一本調子の上昇はたしかに強いものの、日足のテクニカル指標は過熱を強めており、大きく上げた後の調整となると、昨年10月以降のように厳しい調整になる可能性もある。NYダウの下値抵抗線はいま2万5870ドル近辺で、25日移動平均線は2万5343ドル(2月27日現在)。まず下値抵抗線を最初の注意ポイントとしてマークしておきたい。

◆日経平均の下値抵抗線は25日移動平均線、75日移動平均線ともに2万1000円近辺にあり、下値の厚いポイントだ。NYダウが下値抵抗線を割り込むと日経平均もそこを試すことになろう。3月は「申告納税」のほか「彼岸底」という格言もあるだけに、日米とも下値を注視しながらの対応となりそうだ。

(2月28日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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