【特集】檜和田浩昭氏【米中貿易協議に光明、リスクオン相場は続くか】(3) <相場観特集>
檜和田浩昭氏(東洋証券 投資調査部部長)
―3月相場入りが目前、ここからの見通しと投資戦略―
25日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲に買いが及んだ。日経平均株価は前週に週間ベースで500円以上の上昇をみせており、目先買い疲れ感も意識されるところだが思った以上に上値指向は強い。売買代金は低調ながら、今は市場エネルギーの乏しさが売り圧力の弱さに反映されている。ただし、実質3月相場入りを目前に投資家のセンチメントが改善傾向にあるとはいえ、リスク要因も依然として横たわることに変わりはない。果たしてこの順風地合いは続くのか。経験豊富な市場関係者にここからの相場展望と物色の方向性について聞いた。
●「日経平均2万2000円台乗せに期待」
檜和田浩昭氏(東洋証券 投資調査部部長)
今後1ヵ月程度先までの東京株式相場を展望してみると、3月期末が接近すると機関投資家などから年度末特有の持ち高調整の売り需要が想定されることから、ある程度の調整は覚悟しておく必要がありそうだ。ただ、それまでは、比較的順調な上昇相場が継続することになりそうだ。
ここにきて、米中の閣僚級貿易協議の期間延長や、米トランプ大統領が「3月1日の交渉期限を延期する用意がある」と述べるなど、交渉合意に向けての機運が高まっている。米中両国の貿易摩擦緩和に向けて、歩み寄りが進展するとの期待感が高まっており、日本株も中国関連銘柄を中心に買い進まれ、全体相場はジリ高歩調を辿ることが予想される。
米国株式市場でNYダウ平均株価が、約3ヵ月半ぶりに終値で2万6000ドル台を回復するなど堅調な推移をみせ、欧米の主要株式市場に比べて東京株式相場の出遅れが際立っている。こうした出遅れ状態に着目して、今後外国人投資家の日本株への積極買いも予想される。年度末までの日経平均の想定レンジについては、2万800円程度を下値として、2万2000円台乗せを目指す推移が期待できそうだ。
今後の物色テーマとしては、世界的なレベルでの構築が待ったなしとなっている5G(第5世代移動通信システム)に注目したい。これに対応した設備投資の需要は息の長い拡大が見込めることから、関連銘柄のビジネスチャンスは拡大しそうだ。5Gの商用化に向けては、北米や韓国が先行する形で世界の通信事業者や機器メーカーが一斉に動き出しており、スケジュール的にも2020年の商用化が19年に1年前倒しする方向となりつつある。日本でも安倍政権は、東京オリンピック・パラリンピック開催年に間に合わせる形でのインフラ整備の推進に注力しており、官民一体で普及が加速する可能性が高い。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長、マーケット支援部長を経て現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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