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【特集】城南進研 Research Memo(3):直営部門では不採算教室の閉鎖、移転・リニューアルを実施し収益拡大を目指す

城南進研 <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業部門別動向
1. 個別指導部門
(1) 直営教室
個別指導部門は「城南コベッツ」ブランドの個別指導塾を、直営とFC(フランチャイズ)方式で展開している。

個別指導・直営部門の2019年3月期第2四半期は、売上高が前年同期比6.1%減の871百万円となった。城南進学研究社<4720>は2018年3月期末に、不採算教室の整理統合により4教室を閉鎖した(3月31日まで営業し4月1日から閉鎖)。2019年3月期第2四半期はその影響がフルに出たことにより前年同期比で減収となった。

一連の整理統合の結果、2018年9月末現在の直営教室数は54校にまで減少したが、不採算教室はほぼ解消された状況にある。個別指導に対するニーズは依然として高く、成長ポテンシャルも大きいことから、今後は採算性を重視しながら教室数を再び漸増させていくとみられる。

不採算教室の整理の一方、収益拡大に向けた取り組みも着実に実施している。具体的には、教室の移転・リニューアルがその主な柱だ。学習塾選びの際に新しさや清潔感は重要なアピールポイントであり、既存教室のリニューアルを順次進めている。また、予備校改革の一環で出店を加速させている「城南予備校DUO」と商圏が重なる場合には、個別指導の教室をDUOと同じ校舎に移転し、不動産費用を抑制するとともに、中高生の「城南コベッツ」生を、自然な形で大学受験対策をコンセプトとするDUO生へと誘導する仕組みづくりを進めていく方針だ。

(2) FC教室
個別指導・FC部門の2019年3月期第2四半期は売上高が前年同期比6.7%減の138百万円となった。

個別指導・FC部門では、同社は売上の一定比率を受け取る事業モデルであるため、短期的な収益だけを重視するならばFC教室数を増大させ続けた方が得策だ。しかしながら同社は、各FCオーナーが健全に経営できてこそ、ブランド価値の向上、ひいては自社の収益増につながるとの観点から、直営教室同様、FC教室の経営改善にも従来から注力してきている。

具体的な動きとしては、直営教室での成功事例(ベストプラクティス)をFCオーナーで作るオーナー会を通じて共有することで各FC教室の収益拡大につなげる取り組みなどがある。また、新規加盟の希望者に対しては、経営力と同社の教育理念への共感の2つを重視した審査を行い、その基準を厳しくすることで各年の新規加盟者数を絞り込んでいる。こうしたスタンスは、今後も維持する方針であるため、FC教室数及び同社の個別指導・FC教室の収益は、しばらく横ばい圏で推移する可能性もある。


FCオーナー2位の実績を生かし、好立地への出店機会を逃さず積極的出店を実施
2. 映像授業部門
映像授業部門は、同社が大手予備校・河合塾のフランチャイジー(FCオーナー)として「河合塾マナビス」の校舎を展開する事業だ。映像授業はビデオオンデマンド方式で授業を視聴するため、自分の都合とペースに合わせて勉強を進めることができる点が好評で、市場は依然として拡大基調にある。同社はそこに予備校運営で培った指導ノウハウを組み合わせることでさらに高評価・高実績を獲得している。

今第2四半期の売上高は前年同期比17.3%増の721百万円となった。映像授業市場全体の成長に加え、2018年2月に開校したセンター北校(横浜市)や同年5月開校の武蔵中原校、6月開校の三鷹校からの収益も貢献したとみられる。

同社は「河合塾マナビス」のFC事業者の中で、運営校舎数で第2位のポジションにある。過去から積み重ねたその実績によって、新規開校のエリア・立地の選択において相対的に有利な地位を得られる立場にあることと、前述のように映像市場全体の成長が続いていることの2つの理由から、同社は「河合塾マナビス」の校舎数の倍増を狙っている。これは、2018年3月期末の16校を踏まえて、1つの区切りとなる30校体制の構築を目指す趣旨だと弊社では理解している。

2019年3月期は、前述した2018年5、6月開校の2校に加えて、11月には田無校を開校した。さらに2019年3月までの間に3~4校の新規開校を目指している。ただ、新規開校エリアについては確定しているものの適当な不動産物件の数が非常に少ない地域もあるため、1、2ヶ所については2019年3月までに開校できない可能性もあるとみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《SF》

 提供:フィスコ

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