【通貨】為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、不安定な長期金利や株価を警戒
ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【先週の概況】
■米中首脳会談開催への期待でリスク回避のドル売り縮小
先週のドル・円は底堅い動きとなった。ムニューシン米財務長官が日本などとの貿易協議で為替条項を求めていく意向を示したことを受けて日経平均株価は下落したが、米国とサウジアラビアの関係悪化などを嫌気して米国の株価指数が不安定な動きを見せたことから、リスク回避的なドル売り・円買いが優勢となった。
しかし、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(9月25-26日開催分)で、中立水準を上回るまで利上げを継続することを支持する意見が多くみられたことから、ドル買い・円売りが次第に強まる展開となった。米財務省が中国の為替操作国認定を見送ったこともドル買い材料となった。
19日のニューヨーク外為市場でドル・円は、112円65銭まで上昇後、112円37銭まで反落したが、112円54銭で引けた。この日発表された9月の米中古住宅販売件数は市場予想を下回る515万戸にとどまったことから、ドル売りが一時優勢となった。しかしながら、11月の末にアルゼンチンで行われるG20(20カ国・地域)首脳会議で米中首脳会談を行う見通しとなったことを好感して、リスク選好のドル買い・円売りが再び優勢となった。ドル・円の取引レンジ:111円63銭-112円73銭。
【今週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、不安定な長期金利や株価を警戒
今週のドル・円は上げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続観測が続くなか、堅調な経済指標を意識したドル買いは続く見通し。ただ、米長期金利や株価が不安定になれば、ドルの上値は再び重くなりそうだ。
17日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、中立的な金利水準の到達時期をめぐり、一部で慎重な意見がみられたものの、足元の景気認識や利上げ継続姿勢については基本的に一致している。26日発表の7-9月期国内総生産(GDP)が市場予想と一致すれば、12月の追加利上げを見込んだドル買いがやや強まる可能性がある。
米10年債利回りの上昇を嫌気して米国株は大幅安に振れるケースが増えているが、米国金利の先高観は後退していないことから、株安でもドル買い・円売りが優勢となる場合もあるだろう。ただ、トランプ大統領は直近でもFRBを「脅威」とし、利上げ継続に対して不満を示している。米中間選挙に向け表現を強める可能性もあり、大統領の利上げけん制発言はドル売り材料となる可能性も残されている。また、トランプ政権と近いサウジアラビア政府が同国のジャーナリスト失踪について、サウジアラビアは記者の死亡を認めており、トランプ米大統領は19日、サウジアラビアに対する制裁を検討する可能性があると語った。両国の関係悪化を懸念してリスク回避の円買いが広がる可能性は否定できない。
【米・9月耐久財受注】(25日発表予定)
25日発表の米9月耐久財受注は前月比-1.0%と、前月の+4.4%を下回るものの、コア指数は同+0.0%から+0.3%に改善する見通し。製造業の強さが裏付けられれば、7-9月期国内総生産(GDP)速報値の上振れに期待が高まろう。
【米・7-9月期国内総生産(GDP)速報値】(26日発表予定)
26日発表の7-9月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+3.3%と予想される。4-6月期は+4.2%と、2014年10-12月期以来の高成長となった。7-9月期の成長率は鈍化するものの、3%台の成長となる見通し。
予想レンジ:111円00銭-114円00銭
《FA》
提供:フィスコ