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【特集】異常気象でテーマ性再燃、バイオマス発電で輝き放つ銘柄群 <株探トップ特集>

バイオマス発電は製紙メーカーが先行、電力会社、商社なども参画相次ぐ。さらに、ここから要注目の個別企業も目白押し。

―再生可能エネのなかでも高い買取価格でビジネスチャンス拡大へ―

 9月6日に発生した北海道胆振東部地震により、道内全域の約295万戸で停電が発生し、管内のほぼ全域で電力が止まる「ブラックアウト」が日本で初めて起こった。その経緯についてはさまざまなメディアで紹介されているためここでは触れないが、これを機に改めて多様な種類の電源を取り入れる「分散電源」の重要性がクローズアップされている。

 分散電源には原子力と並んで、地球環境対策の一環として水力、風力、地熱、太陽光などの再生エネルギー発電がある。安倍晋三首相も9月23日付の英フィナンシャル・タイムズ紙に気候変動問題について寄稿し、再生可能エネルギーの普及拡大を呼びかけたが、世界各地で起こっている異常気象に対する危機感の高まりからも、再生可能エネルギーへの関心は高まる一方だろう。そこで、発電量を制御しやすく、買取価格が高いバイオマス発電 に注目したい。

●FIT対象で普及に拍車かかる

 バイオマス発電とは、木くずや可燃ごみなど生物由来の有機物資源(バイオマス)を燃やすなどして出る水蒸気やガスを使って、タービンを回し発電する仕組み。火力発電の一種で、発電により二酸化炭素は発生するが、バイオマスとなる植物は燃料として使われる前は光合成により空気中の二酸化炭素を吸収しているので、全体として二酸化炭素を増やさないカーボンニュートラルな発電である。

 国内では、森林資源の有効利用にもつながるとして以前から注目されていたが、2002年に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定されて以降、導入が各地で積極的に始まった。09年の「バイオマス活用推進基本法」制定でこれが加速。さらに12年7月にスタートした「固定価格買取制度(FIT)」の対象となったことで、普及に拍車がかかるようになった。

●19年度まで一部除き買取価格据え置き

 バイオマス発電は、燃料コストがかかる一方、太陽光や風力発電と異なり、発電量を一定にコントロールできるメリットがある。そのため、バイオマス発電に関する設備投資が相次ぎ、17年3月時点でバイオマス発電設備のFIT認定量は1200万キロワットを突破した。

 これは、政府が30年のベストミックスとして想定していた、バイオマス発電導入見通しである602万~728万キロワットを大きく上回ったことになる。17年4月に施行された改正FIT法では、「一般木質バイオマス・農業残さによる発電」の買取価格が引き下げられることになった。

 ただ、それ以外は19年度まで従来の価格が据え置かれた。太陽光発電などと異なり、買取価格に大きな変動がなかったことから、現在でも新たな設備投資計画が進められており、関連銘柄のビジネスチャンスは拡大が続きそうだ。

●エフオン、イーレックスが関連銘柄の代表格

 バイオマス発電関連は、大王製紙 <3880> や王子ホールディングス <3861> 、日本製紙 <3863> 、三菱製紙 <3864> など製紙業界が先行したほか、大手電力会社や商社がバイオマス発電プロジェクトに参画し注目されたが、最近ではエフオン <9514> が代表格といえよう。

 同社は現在、大分県日田市、豊後大野市、福島県白河市で100%国内産木質チップを使用して発電するバイオマス発電所を運営しており、発電出力は合計で4万2000キロワット強に上る。さらに19年末の運転開始を目指し、栃木県壬生町に出力1万8000キロワットの木質バイオマス発電所を建設中のほか、和歌山県新宮市にも出力1万8000キロワットの発電所を21年中の運転開始予定で開発を進めている。

 また、同じく関連銘柄の代表的であるイーレックス <9517> は現在、高知県高知市と大分県佐伯市でバイオマス発電所を稼働。福岡県豊前市(20年1月運転開始予定)と岩手県大船渡市(同)でも発電所を建設中のほか、沖縄県うるま市や香川県坂出市でも建設を計画している。さらに、今年8月には国内最大級となる、発電出力約30万キロワットのバイオマス発電所の事業化に取り組むと報じられており、今後の動向に注目が必要だ。

●タケエイ、北越コーポなどにも注目

 レノバ <9519> は太陽光発電が主力だが、バイオマス発電および陸上風力発電を注力領域と位置づけており、現在秋田県秋田市でバイオマス発電所を運営している。また、福岡県苅田町でも21年6月の運転開始を目指して発電所を開発中で、同発電所に関しては新日鉄住金 <5401> 傘下の新日鉄住金エンジニアリングや住友重機械工業 <6302> が建設を受注している。

 また、タケエイ <2151> は、産業廃棄物処理が主力だが、青森県平川市と岩手県花巻市でバイオマス発電所が稼働中。さらに秋田県大仙市、福島県田村市、神奈川県横須賀市で発電所を計画している。

 このほか、バイオマス発電用木材チップ製造の北越コーポレーション <3865> や、バイオマス発電用装置を手掛ける西華産業 <8061> 、バイオマス燃料の輸入販売事業を推進する省電舎ホールディングス <1711> [東証2]などにも注目したい。

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