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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「政策見直す日銀」

株式評論家 富田隆弥

◆7月30~31日の日銀政策決定会合が注目される。会合を前に日銀の政策スタンスの柔軟化が伝わった。長期金利ゼロ%誘導目標の変更やETF(上場投信)購入配分見直しなどで、先週のマーケットは早くも反応した。

◆投資家の関心は年6兆円を購入するETFの配分見直しだ。これまでは日経平均株価型のETF購入に伴いファーストリテイリング <9983> など一握りの値がさ株が無条件に買われ、指数に大きく影響するようになっていた。そこでTOPIX型の購入比率を高めるようだが、先週26日のマーケットは値がさ株が売られて 日経平均株価が下げる(27円安)一方、個別株は値上がり1733(値下がり309)を数え、 TOPIXは上昇(12.3ポイント高)で反応した。

◆歪んだマーケットを正すためにETF購入比率を見直すのは当然で、悪いことではない。NT倍率も13.06倍(7月13日)から26日12.79倍まで低下し正常化に戻りつつある。できるならばこの際、値がさ株の指数への寄与率を日本経済新聞社は見直してほしいと考える。

◆もう一つ、日銀の柔軟化で見逃せないのは「金利」と「国債」だ。これまでのゼロ%誘導を見直すとの観測から先週26日に長期国債利回りが「0.1%」をつけた。また、これまで150円90銭近辺でこう着を強めていた債券相場が23日に一時150円36銭(61銭安)と急落した。投資家は「金利上昇」で銀行(地銀)株に注目したが、「債券急落」は国債を多く保有する地銀にはマイナスだし、日銀(日本)にとってもプラスではない。

◆そもそも、日銀が市場に介入することが異常だし、債券や株式への膨大な介入がいつまでも続くはずもない。超緩和策の「出口」を論ずるなら「反動」は免れず、そうした観点からも31日の日銀政策決定会合の結果が注目される。いますぐにではないにせよ、先行きどこかで「出口論」は避けられない。

◆さて、1月高値から半年を経過した株式市場。日経平均は「2万3000円」が、TOPIXは上値抵抗線と200日移動平均の重なる「1770ポイント」が上値の節となる。それをどこで上抜くかが当面の焦点だ。

(7月26日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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