市場ニュース

戻る
 

【特集】“副業元年”に飛躍期待の関連株、解禁進み恩恵受ける銘柄は <株探トップ特集>

副業を解禁する企業が増えている。この流れの中で恩恵を受ける銘柄を探った。

―「副業市場」と商機の行方、 クラウドソーシング 人材関連注視―

 これまで就業規則で禁止していた副業を解禁する企業が増えている。こうした動きの背景には、生産年齢人口の減少による人手不足があり、優秀な人材を確保することで生産性を向上させる狙いがある。政府は働き方改革の一環として「労働者の健康確保に留意しつつ、原則、副業・兼業を認める方向で普及促進を図る」としていることから、“二兎を追う”働き方は今後さらに広がる見通しで、「副業元年」に飛躍が期待される銘柄を探ってみた。

●セガサミーHDやユニチャームなど解禁続々

 2016年にロート製薬 <4527> が、17年にはディー・エヌ・エー <2432> やセプテーニ・ホールディングス <4293> [JQ]、コニカミノルタ <4902> 、ソフトバンクグループ <9984> などが副業を解禁した。18年に入ってもこの流れは続き、新生銀行 <8303> は4月から、社員が個人で事業を営んだり、業務を受託する「個人事業主型」に加え、他社に従業員として雇用される「他社雇用型」についても、所定の条件を満たせば認める制度を導入。ユニ・チャーム <8113> やセガサミーホールディングス <6460> も4月から、多様な働き方を推進することを目的に副業を認めた。

 また、ファインデックス <3649> は4月下旬から、10年以上勤務した社員が最長6ヵ月間の休暇が取得できる制度を取り入れ、休暇中は競合他社以外で副業することができるなど、自らのキャリアや働き方を見つめ直す機会として、さまざまなかたちで利用することが可能。エイチ・アイ・エス <9603> は5月から副業を解禁し、社員が訪日外国人向けの通訳ガイドなどに就くことで、本業のサービス向上につなげたい考えだ。

●優秀な人材を確保できるメリットなどに着目

 情報漏洩リスクなどを理由に副業を禁止していた企業の姿勢に変化が出てきているのは、副業を解禁するデメリットよりもメリットの方が大きいとの見方が次第に広がってきたことがある。例えば、「副業で社員の能力が上がると、グループ全体の価値が向上する効果が期待できる」(セガサミーHD広報部)ほか、「社員がやりたいことに挑戦できるようにすることがモチベーションを高め、さまざまな経験により得られた知識やスキルがフィードバックされることが会社にとって大きな刺激になる」(ファインデックス管理部)ことが挙げられる。また、多様な働き方を認めている先進的な企業としてイメージがアップすることにより、優秀な人材の獲得や流出防止を見込む企業も多いようだ。

 従業員にとっても、離職せずに別の仕事に就くことで主体的にキャリア形成ができ、定年後の働き方の選択肢が増えるなどの利点がある。政府は17年3月に策定した「働き方改革実行計画」で、副業・兼業は新たな技術の開発や起業の手段、そして第2の人生の準備として有効で、その普及を図ることが重要であると明記。18年1月には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表するなど、副業の解禁・推進は国策ともいえ、関連市場のさらなる成長が予想される。

●クラウドワークスの月間総契約額が10億円突破

 「副業解禁」の恩恵を受ける銘柄としてまず注目したいのが、仕事の依頼主とそれを請け負う個人(クラウドワーカー)をインターネット上でマッチングし、仕事の受発注ができるクラウドソーシングサービスを手掛けている企業だ。この分野で国内大手といえるのがクラウドワークス <3900> [東証M]で、グループ累計193万人以上のクラウドワーカーを擁し、さまざまなサービスをあわせた月間総契約額は3月に創業以来、初めて10億円を突破した。

 このほかにも、パソナグループ <2168> 、リアルワールド <3691> [東証M]、うるる <3979> [東証M]などが同サービスを運営している。業界大手のランサーズ(東京都渋谷区)が4月に公表した調査によると、複数の会社やクライアントとの間で仕事ごとに契約するフリーランスは現在1119万人で、うち副業(本業・副業を区別しない労働者を含む)フリーランスは744万人。フリーランス人口は今後さらに増加することが予想され、つれてクラウドソーシングサービスの利用者数も一段と拡大しそうだ。

●メンバーズはフリーランス支援会社を設立

 副業を支援する銘柄も注目で、メンバーズ <2130> は4月に、デジタルマーケティング業界で活躍するプロフェッショナルなフリーランスと、IT人材不足に悩む企業をつなぐフリーランス支援会社を設立。アエリア <3758> [JQ]子会社のファーストペンギンは5月に、法人から個人の副業までを決済面でサポートする決済代行サービス「AquaGates(アクアゲイツ)」を開始し、導入契約数は1ヵ月で50件(初年度目標200件)を超えた。

 さらに、ディップ <2379> やリブセンス <6054> といった 人材関連も副業解禁が追い風となりそうで、みらいワークス <6563> [東証M]が運営するフリーランスのコンサルタント向け案件紹介ポータルサイトなども注目。時間や場所に捉われない働き方であるテレワークを実現するためのソリューションなどを提供するソリトンシステムズ <3040> やアセンテック <3565> [東証M]、ブイキューブ <3681> などにも商機がありそうだ。

●マネーフォワード、弁護士コムにも注目

 副業を行うにあたっては、契約面や税務面、労働基準法違反にならないための労働時間の管理といった課題があり、これらをサポートする企業にもビジネスチャンスがある。法律や税務の相談ポータルサイトを運営する弁護士ドットコム <6027> [東証M]や、確定申告での利用増が期待されるクラウド型会計ソフトを手掛けるマネーフォワード <3994> [東証M]など。また、パーソルホールディングス <2181> 傘下のパーソルキャリアとテックビューロ(大阪市)、日本情報通信(東京都中央区)は3月から4月にかけて、ブロックチェーン技術を利用した副業支援アプリケーションの実証実験を行い、自社および副業先の勤怠を正確に管理できることを確認した。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均