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【通貨】為替週間見通し:米朝首脳会談の成功と米利上げ加速期待でドルは底堅く推移か

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【先週の概況】
■米通商政策に対する警戒感でドルは伸び悩む

先週のドル・円は伸び悩み。5月ISM非製造業総合景況指数や4月JOLT求人件数が市場予想を上回ったことから、金利先高観が台頭し、週前半はドル買いが優勢となった。しかしながら、主要7カ国首脳会議(G7サミット)で米国の通商政策をめぐり対立が激化するとの懸念が広がり、週後半はリスク回避的なドル売り・円買いが活発となった。

「中国が7兆円購入増を提案、米制裁見送りが条件」との報道を受けて米中貿易戦争への懸念は多少後退したこと、欧州中央銀行(ECB)は年内に量的緩和策を終了するとの思惑でユーロ買い・円売りが活発となったことから、ドル・円は節目の110円を突破した。しかし、その後、G7サミットで米国の通商政策をめぐり対立が激化するとの懸念が広がり、リスク回避的な円買いが急速に強まった。8日のニューヨーク市場では、ドル・円は、109円60銭まで上昇したが、主要7カ国(G7)首脳会談や米朝首脳会談への懸念がくすぶり109円34銭まで反落し、109円47銭で引けた。先週のドル・円の取引レンジは109円20銭から110円27銭となった。ドル・円の取引レンジ:108円11銭-109円83銭。

【今週の見通し】
■米朝首脳会談の成功と米利上げ加速期待でドルは底堅く推移か

今週のドル・円は底堅い動きを見せることになりそうだ。米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は日本時間12日10時から、シンガポールで首脳会談を行う。朝鮮戦争終結と北朝鮮の非核化が会談の主要テーマになるとみられている。史上初の首脳会談が無事終了し、朝鮮半島の非核化への進展が期待された場合、リスク要因の後退で円売り優勢の展開が見込まれる。

また、12-13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で3月以来の追加利上げが決定される見通し。追加利上げは織り込み済みだが、今回公表されるFOMCの経済予測で金利見通しが上方修正された場合、日米金利差拡大を想定したドル買い・円売りが活発となりそうだ。金利見通しが据え置かれても、利上げ継続の方針が示された場合、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となりそうだ。

欧州の政治情勢に関しては、イタリアの新政権による財政拡張型の政策への懸念が高まっている。ただ、国内政局の混乱はひとまず回避されたことを受けて、欧州中央銀行(ECB)は今回の理事会で金融緩和策の早期解除を検討するとみられており、ユーロの買い戻しが見込まれる。ユーロ買い・米ドル売りが活発となった場合、ドル・円の取引でもドル売りがやや増える可能性があるが。ユーロ買い・円売りの取引も拡大することから、ドル・円相場が円高方向に大きく動く可能性は低いとみられる。なお、米トランプ政権は、鉄鋼・アルミ製品の輸入に関し欧州連合(EU)に対する輸入関税の追加を決定し、貿易戦争への懸念が再燃している。貿易戦争の激化は世界的な景気減速につながると警戒されており、ドルの先高観がすみやかに台頭する状況ではないとみられている。

【米朝首脳会談】(6月12日開催予定)
米国と北朝鮮の両国首脳による会談は史上初となる。朝鮮戦争終結と北朝鮮の非核化が会談の焦点になりそうだ。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射台撤去などについて報じられる。非核化に向けた取り組みや朝鮮戦争終結への期待が高まれば、リスク選好的な円売りに振れるだろう。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(6月12-13日開催予定)
FRBは日本時間14日午前3時に声明を発表し、その後にパウエル議長が記者会見する。政策金利の引き上げは確実視されているが、欧州政治リスクの影響に関する言及が注目される。目先の引き締め加速に期待が低下すれば、ドル売りがやや強まる可能性がある。

予想レンジ:108円00銭-111円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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