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【特集】リネットジャパン Research Memo(2):リユース、リサイクル事業を展開、カンボジア・ファイナンス事業も軌道に

リネットJ <日足> 「株探」多機能チャートより

■リネットジャパングループ<3556>の会社概要

1. 事業概要
創業以来の主力である「ネットリユース事業」は、インターネット専業の「ネットオフ」ブランドで買取・販売サービスを手掛けている。リユース市場の拡大、ネット化の進展などを追い風としながら、中古本を中心とした幅広いジャンルをワンストップで取り扱う利便性の高さやローコストオペレーションなどにより、会員基盤は国内最大級の約250万人に上る。

一方、2014 年より開始した「ネットリサイクル事業」は、小型家電リサイクル法の許認可取得により、「リネット」ブランドにて宅配便を活用した回収サービスを提供している。全国の自治体と提携し、行政サービスの一環として展開していることや各種サービス収入による独自のプラットフォームに特徴があり、いわゆる「都市鉱山」として知られている潜在市場の大きさ、参入障壁の高さ、国民の意識の高まりなどにより新たな成長ドライバーとして位置付けられる。2017年4月末の連携自治体数は157(対象人口3,745万人)にまで拡大してきた。

また、前期(2017年9月期)より開始した「カンボジア・ファイナンス事業」は、SBIホールディングスとの合弁等により商用タクシーを中心としたリース事業を展開する計画であるが、2018年2月には新たにグラミン銀行系金融機関との連携を通じてマイクロファイナンス事業にも参入した。

2018 年9 月期第1四半期における事業別売上構成比率では、「ネットリユース事業」が87%を占めており、「ネットリサイクル事業」が3%、「カンボジア・ファイナンス事業」が9%に過ぎない。ただ、足元では「ネットリサイクル事業」の伸びに加え、「カンボジア・ファイナンス事業」が急拡大しており、同社の収益構造は変化に向かっている。

各事業の概要は以下のとおりである。

(1) ネットリユース事業
「ネットオフ」ブランドによる自社サイトを通じて、ユーザーから中古本、CD、DVD、ゲームソフトのほか、ブランド品、貴金属、カメラ、フィギュア等、幅広い商品の買取申し込みを受け付け、宅配便で集荷後、査定額を指定口座に支払う「宅配買取」を行う一方、買い取った商材を自社で運営するインターネット中古書店やアマゾンなど提携会社の運営サイトを通じて販売する「eコマース」を組み合わせた事業である。実店舗を構えず、インターネットと宅配便を活用したインターネット専業であるとともに、2つの大規模な商品センター(延べ4,000 坪)により大量の在庫品をさばく体制を構築している。

(2) ネットリサイクル事業
「リネット」ブランドによる自社サイトを通じて、ユーザーからの申し込みにより、直接、不用となった使用済小型電子機器等を有償で宅配回収するとともに、パソコンや携帯電話を廃棄する際に個人情報漏えいを懸念するユーザー向けのデータ消去サービスなどのオプションサービスも有償で提供している。また、回収した使用済小型電子機器等はリユース販売、もしくはこれらの部品に含まれるレアメタルを中間処理会社に売却するプラットフォーム型の事業(各プレイヤーをつなぐことでバックヤードを介在しない事業モデル)である。2014 年1 月に小型家電リサイクル法の認定事業者免許を取得して参入した。宅配便を活用した回収スキームでは現状同社が唯一の存在である。

(3) カンボジア・ファイナンス事業
経済成長の著しいカンボジアにおいて、IoTを活用した自動車等の販売やマイクロファイナンス事業などを手掛けている。2017年5月にSBIホールディングスとの合弁により、自動車、バイク、農業機械等のリース事業への参入を発表した。その一方で、車両販売及び自動車整備関連事業を展開する100%現地子会社RENET JAPAN (CAMBODIA) CO.,LTD.を設立し、ファイナンス事業との連動(営業的なシナジー創出と競争力強化)を図る体制を整えた。SBIホールディングスとの合弁会社設立については、リース免許取得に向けてカンボジア中央銀行と調整中(2018年9月を目標に事業開始予定)であるが、それに先立って、ローカル企業との連携により同社独自で進めている車両へのIoT機器設置実験※とトライアル販売の結果が良好であり、足元では急速に業績が伸びてきた。

※自動車に取り付けるIoT機器を活用して車両を通信と常時接続し、GPSによる追跡や支払延滞に対して遠隔からのエンジン始動の停止などにより支払いを促すことが可能となる仕組み。


カンボジアは経済成長率が高く、リース事業を始めとしたファイナンス市場も大きく成長することが期待されている。ただ、現状について言えば、自動車は中古車を中心に急速に普及しているものの、与信情報を提供する専門機関が不十分であることなどから、ローンやリースのサービスが充分に整備されていない。特に、タクシー事業者については、車両さえ確保できれば安定した所得を得られるにもかかわらず、与信の問題からリースサービスを利用できない状況にある。したがって、同社の推進するビジネスモデルが軌道に乗ってくれば、大幅な事業拡大に結び付く可能性も否定できない。

また、2018年2月には、カンボジア・ファイナンス事業の第2弾として、グラミン銀行系金融機関との連携等を通じてマイクロファイナンス事業への参入も発表。カンボジアを代表するソーシャル・マイクロファイナンス機関である「Chamroeun Microfinance Plc.」(以下、チャムロン)の株式をグラミン銀行系ファンド等から取得することを決定した(持分90%の筆頭株主となる株式譲渡契約を締結し、2018年8月までに買収手続き完了を予定)。本件におけるポイントは、チャムロンのソーシャル・マイクロファイナンスにおけるノウハウのほか、店舗ネットワーク、顧客基盤、職員等の貴重な経営資源※を引き継ぐことに加えて、マイクロファイナンスで世界的に評価の高いグラミン銀行系のグラミン・クレディアグリコルとのアドバイザリー契約を締結し、今後の事業拡大(ASEAN展開も視野)に向けて強力な後ろ盾を得たことである。

※支店数21(カンボジア全土)、職員数207名、借り手数24,088名、総資産約12.1百万ドル(2017年12月期監査前)、貸付総額約10.1百万ドル(同左)



ネットリユース事業は商材確保が業績の伸びをけん引。ネットリサイクル事業はプラットフォーム型の高収益モデル
2. 企業特徴
(1) 成長モデル
「ネットリユース事業」の収益源は、買い取った中古品の販売によるものである。したがって、会員数の拡大と商材の確保が業績の伸びをけん引する。特に、大量の商材(在庫品)をいかに効率的に集めるか(買取数の拡大)が大きなカギを握っている。一方、「ネットリサイクル事業」は、3つの方法による複合型の収益モデルとなっている。すなわち、回収した小型家電による1)資源売却収入や、一部リユース再販による2)商品販売収入のほか、ユーザーからは宅配回収料金に加え、パソコンデータ消去など3)各種サービス収入※をオプション課金として徴収する。したがって、全国の自治体との連携により、いかに利用者を増やすかということが重要な戦略となっており、提携自治体数の拡大と回収率(利用率)の向上が業績の伸びをけん引すると言える。特に、プラットフォーム型の「ネットリサイクル事業」にとって、収益性の高い各種サービス収入が重要な収益源となるところにポイントがある。

※パソコンデータ消去(パソコンのデータ消去作業代行及び消去証明書発行を行うサービス)、データ引越サービス(回収したパソコン内のデータをUSBメモリ等へ移行し、返却するサービス)、ダンボール事前送付(回収専用ダンボールの事前送付サービス)、代引き払い(回収ドライバーへの現金払い決済サービス)など。

(執筆:フィスコアナリスト)

《HN》

 提供:フィスコ

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