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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米首脳会談、G7首脳会議、メジャーSQ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限22750-下限21500円

来週の日経平均は8日のメジャーSQを控えて先物に影響を受けやすい展開のなか、短期的な戻りを試す場面もありそうだ。5月の雇用統計とISM製造業PMIの内容が米国景気の先行きに楽観的な見方を示したことから先週末のNYダウは急反発しており、東京株式市場も買いが先行して始まりそうだ。日経平均は5月30日に75日移動平均線と200日移動平均線が位置していた節目の22000円までの調整を見たところで、目先の調整一巡感が台頭している。南欧政治リスクが後退し、6月12日で調整中の米朝首脳会談の開催に現実味が増してくる流れを受けて、先物主導でのインデックス買いが日経平均を押し上げる可能性がある。1日朝方の寄付前に財務省から発表された1-3月の法人企業統計では、設備投資増加率が前年同期比3.4%と高い伸びとなったことも好感材料として働いてこよう。ただし、休戦状態にあった米中通商協議が2日から4日にかけて控えている。トランプ政権が「15日までに関税対象となる中国製品を公表する」との報道が出るなど、米中貿易摩擦が再燃して、相場に影を落とすリスクを抱えていることには留意しておきたい。

6月は月間ベースで見ると1月に続いて日経平均の上昇確率が高い月でもある。月後半から活発化する3月期決算企業の株主総会の開催を控えて個別企業からはポジティブニュースが発信されやすい時期に入ってくる。物色面では、先週に続いて資生堂<4911>、アステラス製薬<4503>といったディフェンシブ系大型株の強調展開が期待されるほか、先週末にかけて続伸し下げ止まり感を強めているトヨタ<7203>など輸出関連株の戻りも焦点となる。また、年初来安値更新中の日本郵政<6178>、三菱UFJフィナンシャル<8306>、SUBARU<7270>など金融、自動車の一角が下げ止まりから反発に転じてくるかもポイントだ。一方、今年に入って最大のIPO案件となるメルカリ<4385>のブックビルディングが4日から8日のスケジュールで始まる。仮条件価格が想定仮条件よりも大幅に引き上げられた結果、市場からの資金吸収額は最大で1306億円超となる。需給面での懸念もあるが、話題銘柄のIPOによる市場のセンチメント好転も期待される。

主な経済関連スケジュールは、国内では、5日に4月家計調査、7日に4月景気動向指数、8日に1-3月期GDP改定値、4月国際収支、5月景気ウォッチャー調査の発表を控える。海外では、4日に米4月製造業受注、5日に米5月ISM非製造業景況指数、6日に米4月貿易収支、8日に中国5月貿易収支の発表がある。このほか、7日に日米首脳会談(ワシントン)、8日にメジャーSQ、8日から9日にかけてカナダでG7首脳会議が予定されている。ちなみに、5月のSQ値は22621.77円、1年前の6月SQ値は19997.63円だった。また、6月10日に行われるスイス国民投票では、スイス中央銀行にのみ通貨創造を認める金融システム改革案「ソブリンマネー・イニシアチブ」と、オンラインカジノも賭博法に適用する「新賭博法」の二つの案件の是非がスイス国民に問われる。世論調査で「ソブリンマネー」構想は否決される見通しだ。


■為替市場見通し

来週のドル・円はもみあいか。イタリア、スペインにおける国内政治の先行き不透明感はひとまず払しょくされたが、イタリアの債務問題に対する懐疑的な見方は残されているようだ。リスク回避的な取引が全面的に縮小しているわけではないことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースを見極める展開となりそうだ。米通商政策に対する懸念はドルの下押し要因なろう。

イタリアの新政権(連立政権)による組閣の再調整で反欧州連合(EU)色はある程度薄められるとの期待から、ユーロの買戻しが予想される。ただ、新政権が公約する歳出拡大計画に市場は警戒している。ユーロ懐疑派とみられているパオロ・サボーナ氏を経済相に起用したことも一部でユーロ売り材料になるとの見方が出ている。イタリアが財政拡張策に転換し、反EU的な政策を多く打ち出した場合、欧州政治の不確実性は高まり、政治的な混乱が再び生じる可能性がある。このような動きは米国の金融政策にも一定の影響を与える可能性がある。ブレイナードFRB理事は緩やかな利上げが適切としながらも、イタリアの問題に触れ「調整の用意」と政策変更の可能性を示唆している。連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を来週12-13日に控え、ドルに関しては調整による売り買いが交錯する見通し。

一方、米トランプ政権は、鉄鋼・アルミ製品の輸入に関しカナダやメキシコ、EUに対する輸入関税の追加を決定し、貿易戦争への懸念が再燃している。5月雇用統計の改善で景気の先行きに対する楽観的な見方が広がっているが、1-3月期国内総生産改定値は下方修正されている。米国の通商政策に対する市場の懐疑的な見方が一段と広がった場合、ドルの上値は重くなる可能性が高い。


■来週の注目スケジュール

6月4日(月):米製造業受注が休場、米アップルの年次開発者会議など
6月5日(火):ユーロ圏総合PMI改定値、英サービス業PMI、米・ISM非製造業景況指数など
6月7日(木):独製造業受注、日米首脳会談、米消費者信用残高など
6月8日(金):GDP改定値、G7首脳会議など

《SK》

 提供:フィスコ

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