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【市況】まぐろどん:行動ファイナンスから見る損切りの重要性【FISCOソーシャルレポーター】


以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家まぐろどん氏(ブログ「証券アナリストが考えたスマホでできるお手軽株式投資「トランプ式投資術」」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2018年4月22日16時に執筆

■損切りの重要性
「損切りを制する者は相場を制す」というほど、株式やFX、仮想通貨など、投資の世界において資産を形成するために「損切り」は重要です。実際、「損切り」の重要性を謳った書物も多く見受けられます。ここでは、相場の世界においてなぜ「損切り」が重要なのかを学術的に考えていきます。

■プロスペクト理論による損失回避行動
行動ファイナンスという、心理的、感情的な要素が市場や価格形成に影響を及ぼしているとの考え方が前提の学問があります。そして、行動ファイナンスの中心的な概念がプロスペクト理論です。プロスペクト理論とは、人は利益を得る場面では「利益を確実に手に入れることを優先」し、損失を被る場面では「損失を最大限に回避することを優先」する傾向があるという心理行動を表した理論です。

例えば、AかBを選択できる下記のようなゲームがあるとします。
「A」の場合:賞金1億円
「B」の場合:投げたコインが表なら賞金2億円、裏なら賞金ゼロ。

2分の1の確率で、何もないよりは、確実に賞金1億円をもらえる方が良いと考えるため、多くの人は「A」を選択するのではないでしょうか。

では、2億円の借金を抱えている状況で、同じゲームをしたらどうでしょうか。「A」を選択すれば、確実に借金を1億円返済することができます。しかし、1億円の借金は残ったままになります。「B」を選択すれば、2分の1の確率で2億円の借金を全額返済できる可能性があります。ただし、同じ確率で借金がまったく返済できない可能性もあります。「B」は一か八かのギャンブル性の強い賭けにも関わらず、今度は多くの人が「B」を選択したのではないでしょうか。

人間は利益を前にすれば確実に利益を取ろうとし、損失を前にすればその全てを回避しようとする性質があるのです。そのため、全く同じ金額を目の前にしても、利益と損失では損失の方がより強く印象に残り、それを回避しようとする行動をとるのです。

投資で負けているときに、損失を取り返そうと一か八かのリスクの高い投資をして、さらに損失が膨らんでしまったという経験は多くの人があると思います。つまり、人間は心理的に、損切りをして損失を受け入れるどころか、損失をカバーするためにさらに高いリスクをとってしまうのです。

■人間心理が作る「塩漬け株」
さらに利益・損失ともに金額が大きくなればなるほど感覚が鈍ってくる性質もあります。利益・損失はともに、金額が小さいうちは小さな変化にも敏感になりますが、金額が大きくなるにつれて鈍感になります。例えば、含み益になっている時、少し利益が増えただけでうれしくなりますが、その後は利益が増えても当初ほど満足度が高まらなくなります。そのため、ある程度の利益が出たら利益確定を急いでしまうのです。

損失が出ている時は少し損が大きくなるだけで不満が大きくなりますが、その後は損失が増えても不満はそれほど高まらなくなります。そのため、いつかは株価が戻るだろうと考えるようになり、いつまでも損切りができずに塩漬けとなってしまいます。

このように、人は少し利益が出ただけで利益確定していまいますが、損失に対しては取り戻そうとするためリスク志向になり、それが失敗してさらに損失が膨らむと感覚が鈍ってきてしまいます。プロスペクト理論は「損大利小」になる人間の心理を示しています。

■「損小利大」を実現する損切り
投資の世界では利益は大きく、損失は小さくの「損小利大」が基本です。プロスペクト理論のいう「損大利小」にならないようにするため、「損切り」が重要となってくるのです。
ただ、分かっていても、いざとなると損切りを躊躇してしまう人は多いと思います。損切りできないときに、この銘柄は業績がいいからすぐに戻るなど都合のいい言い訳を考えたりしていませんか。この時点ですでに感情・心理に支配されており、いつの間にか「損大利小」の道を歩んでいることになります。

感情を抑制するには、機械的に損切りするためのルールを徹底することが必要だと思います。例えば、買い値から何%下がったら損切りする、買ったときの前提が変わったら損切りするなどのルールを設定し、これを継続的に続けます。その際に事前に逆指値で注文をしておくのもよいでしょう。一方、利益を伸ばすためには、高値から何%押したら利益確定する、何%上昇したら半分だけ利益確定するなどのルールを設定することをおすすめします。

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執筆者名:まぐろどん
ブログ名:証券アナリストが考えたスマホでできるお手軽株式投資「トランプ式投資術」

《HT》

 提供:フィスコ

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