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2018年03月22日13時30分

【特集】プラチナの上値抑える“貿易戦争”懸念、供給過剰は縮小へ <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行

―ファンダ中立もパラジウム上昇でつれ高の可能性、東京プラチナは円高重荷―

 プラチナ(白金)の現物相場は2018年に入り、おおむね950~1000ドルのレンジで推移している。自動車触媒需要の伸び悩みが懸念され、売られ過ぎとなった2017年から地合いを引き締めたが、ファンダメンタルズは中立であり、上値は限られた。ただ、世界的な金融政策の正常化が見込まれるなか、米政権運営や貿易戦争に対する懸念でドル安の見方が強まっていることが支援要因である。

 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は緩和的な金融政策が続くとの見通しを示しているが、ECB内の討議の焦点が債券買い入れプログラムの縮小から金利の道筋に移っていると伝えられており、ユーロ主導でドル安が進むと、プラチナの支援要因になる。一方、米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税が新車販売の減少につながると、圧迫要因になる。欧州連合(EU)は、米国が輸入関税の適用除外としない場合の対抗措置導入に向けた準備に着手しており、目先は欧米の協議の行方も焦点となる。

 今回はプラチナの需給を確認するとともに、他の材料について解説する。

●18年のプラチナは供給過剰幅を縮小見通し

 ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)の「プラチナ・クオータリーQ4・2017」によると、2017年第4四半期のプラチナは1.6トンの供給過剰となり、第3四半期の7.5トンから供給過剰幅を縮小した。二次供給の増加を受けて総供給が増加したが、自動車触媒需要や宝飾需要、投資需要の増加により総需要が増加した。一方、2018年は0.8トンの供給過剰とされ、2017年の7.8トンから供給過剰幅を縮小すると予想される。鉱山生産が減少して総供給の減少が見込まれる一方、総需要は小幅に増加するとみられている。

●パラジウムが上昇すると支援要因に

 パラジウムの現物相場は2018年に入り、調整局面を迎えた。大幅な供給不足見通しが支援要因となり、年初に史上最高値1138ドルをつけたが、株価急落や米自動車販売の減少見通しなどを背景に利食い売りが出て1000ドルを割り込んだ。

 ただ、需給のバロメーターとなるリースレート(貸出金利)は高水準で推移しており、リスク選好の動きが出ると、再び上値を試す可能性が残っている。リースレート1ヵ月物は2017年10月のピーク10.74%から20日時点で5.09%に低下したが、 プラチナの0.05%と比べると供給逼迫を示している。プラチナの需給は中立だが、パラジウムが上値を試すと、プラチナもつれ高となる可能性が残っている。

●東京プラチナは円高を警戒

 東京プラチナ先限は19日、2017年12月以来の安値3207円をつけた。年初の高値3618円から下落し、現物相場と比べると上値が重い。円相場が1ドル=113円から106円前後の円高に振れたことが圧迫要因になっている。黒田日銀総裁が出口戦略に言及しており、日米の金利差を背景に積み上がった円の売り玉が買い戻されると、円高に振れやすい。長期的には企業物価の購買力平価(PPP)である95円まで円高が進む可能性があり、東京プラチナの上値を抑える要因になるとみられる。

(minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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