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【特集】アルプス技研 Research Memo(1):前期業績は計画を上回る増収増益、今期業績も過去最高を更新する見通し

アルプス技 <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

1. 会社概要
アルプス技研<4641>は、機械、電気・電子、ソフト・IT、化学などの分野において、大手製造業各社に高度技術サービスを提供する総合エンジニアリングアウトソーシング企業である。経営理念である“Heart to Heart”「人と人との心のつながり」を大切にしており、技術者としてのみならず社会人としても一流であるべしとの思いから、創業以来一貫して、技術力の強化に加え、ヒューマン教育にも注力している。これが同社の強みである人材を生み出す源泉となる企業組織文化となっている。同社グループは同社及び子会社4社から構成され、2016 年12 月期より、アウトソーシングサービス事業とグローバル事業の2つの事業セグメントとなった。

2. 新会社の設立
同社は、中長期成長ビジョンの実現に向けて、新会社設立により新規事業への参入を決定した。高い成長性が見込まれる農業関連分野、及び人手不足が顕著となっている介護関連分野において、新たなモデルの人材派遣市場を創出するところに狙いがある。これらの分野は、AIやIoT、ロボットなどの最先端技術の導入や外国人労働力の活用がカギを握ると言われており、これまで培ってきた高度な技術力と人材育成(外国人の採用を含む)のノウハウが活かせる領域で先行者利益を目指す戦略と考えられる。本格的な業績貢献には長期的な目線が必要と考えられるが、ポテンシャルの大きな事業として今後の動向に注意する必要がある。

3. 2017年12月期業績(連結)の概要
2017年12月期の業績は、売上高が前期比13.1%増の30,260百万円、営業利益が同13.3%増の3,238百万円と計画を上回る2ケタの増収増益となった。良好な受注環境を背景として、主力のアウトソーシングサービス事業が高稼働率の維持や契約単価の上昇、稼働人数の増加により大きく拡大した。また、2016年9月に連結化したパナR&Dが通年寄与したことも増収要因となっている。損益面でも、一過性要因によるグローバル事業の原価増のほか、創業50周年記念に係る費用や広告宣伝費の増加があったものの、増収効果により営業増益を実現し、営業利益率も10.7%(前期も10.7%)と横ばいを確保した。

4. 2018年12月期の業績予想
創業50周年を迎える2018年12月期の連結業績予想については、売上高を前期比7.1%増の32,400百万円、営業利益を同5.9%増の3,430百万円と過去最高の業績を更新する見通しである。業績の伸びが前期と比べてやや緩やかなのは、パナR&Dの連結化効果の一巡によるものであり、巡航ペースの成長が持続するものと評価するのが妥当であろう。損益面でも、創業50周年記念事業に係る費用増が想定されるものの、増収により吸収することで営業増益を確保し、営業利益率もほぼ横ばいで推移する見通しである。

5. 中長期の成長戦略
同社は、2018年12月期から2020年12月期までの3ヶ年を対象とする新たな中期経営計画(ローリング方式)を公表した。最終年度である2020年12月期の目標として、売上高37,200百万円、営業利益3,840百万円を目指している。また、ROEも18%以上を確保する計画である。

さらに中長期成長ビジョンとして、1)既存事業の強化に加えて、2)最先端技術への対応、3)グローバル展開、4)新規事業への挑戦の4つの戦略軸を打ち出している。弊社でも、同社の事業展開の方向性は、国内人口の減少や経済のグローバル化が進展する中で、今後の産業構造の変化を見据えた合理的な戦略であると評価している。新規事業(介護・アグリ分野)の進捗を含め、需要が拡大している新たな技術分野への対応を図り、いかに持続的な成長に結び付けていくのかが今後の注目点となろう。また、引き続き、強固な財務基盤を活かしたM&A にも注意する必要がある。

■Key Points
・開発・設計などの上流工程に特化した高度技術者集団
・2017年12月期の業績は、稼働人員の拡大により計画を上回る増収増益を達成
・新会社設立により、成長分野へと向かう農業関連分野及び介護関連分野への参入を図る
・2018年12月期は創業50周年を迎え、過去最高業績(及び配当)を計画
・既存事業の強化、最先端技術への対応、グローバル展開、新規事業への挑戦の4つの戦略軸により持続的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MH》

 提供:フィスコ

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