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【特集】窪田朋一郎氏【米株高でも気迷いムード、日本株底入れはいつ?】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―大幅買い優勢で始まっても疑心暗鬼に陥る弱気相場の正体―

 米国を中軸とした世界株高の構図が歪み始めている。急速な米長期金利上昇を嫌気する形で米株市場が大幅な調整を余儀なくされ、そのリスクオフの大波が日本株にも及んでいる。3連休明けの東京市場では、前日にNYダウ平均株価が400ドル超に買われたことを受け、日経平均株価も一時300円近い上昇をみせたが、戻り売りの壁は厚く、後場は上げ幅を急速に縮めマイナス圏に沈んだ。投資家心理の改善にはまだ時間がかかるのか。東京市場の針路について改めて専門家の意見を聞いた。

●「不安定な状況続くも売りの峠は越えた」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 全体相場は引き続き不安定な状況にある。ただし、ひと頃のVIX指数の急騰に振り回され、売りが売りを呼ぶような下方圧力の強い相場の峠は越えたとみている。相場は予断を許さない局面とはいえ落ち着きを取り戻しつつある。

 今回の株式市場の下げは、短期的にはVIX指数の急上昇とそれに伴う関連ファンドの機械的な売りを誘発したことが影響した。しかし、同指数のボラティリティはここにきて低下している。また、中長期的なスタンスでは米長期金利上昇を嫌気した格好だが、これも上昇スピードが速過ぎるのは明らかであり、米10年債利回りがこのまま3%台に乗せてさらに上を目指すという展開は考えにくい。ここ原油市況も大きく調整しているが、これは長期金利を鎮静化させる背景となる。また原油安は企業にとってコスト削減効果をもたらし、企業業績面からも追い風要因となる材料だ。

 日経平均は2万1000円ラインが当面の底値到達ラインとみている。3月相場では米国株と歩調を合わせて日経平均は戻りを試す展開が見込まれ、2万3000円を上限とするボックス相場を想定している。その根拠として挙げられるのは企業のファンダメンタルズと比較しての割安感だ。日経225ベースのPERは13倍近辺とアベノミクス相場の下限ラインである14倍を下回る水準にある。これは早晩見直し買いの足場となろう。

 ただし資金を振り向けるのであれば、インデックス売買の影響を受けやすい東証1部より東証2部やジャスダック市場の方に優位性がある。物色対象としては、東芝 <6502> [東証2]のような時価総額の大きい銘柄が注目されそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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