【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:FANG物色再燃、CES2018、1991年以来の25000円
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限24500-下限22500円
来週は過熱警戒もリスク選好の地合いが続くだろう。日本が休場中の海外市場の上昇や原油高等が刺激材料となり、日経平均は一気にもち合いレンジを上放れている。インデックスに絡んだ商いが中心であるため、今後の米国市場の動向次第では大きく値を消すリスクは警戒されそうだが、良好な需給状況のなかではショートポジションは禁物だろう。また、北朝鮮情勢についても、少なからず平昌五輪が終わるまでは、ミサイル発射といった動きはなさそうであり、リスク選好の地合いが続きそうである。
米国では昨年末の節税対策の売りが通過する一方で、1月効果と呼ばれるアノマリーがあり、株価上昇率が統計的に高いことが知られている。年末の損失確定の反動に加えて、相対的に国内企業の割合が多い小型株は税制改革による恩恵を受けることが予想される。昨年末には利益確定の流れが強まっていたアマゾンやアップルといったFANG株への資金流入が再燃しており、この流れからファナックやソニー、ソフトバンクG、TDKなど主力大型株には海外勢の資金流入が意識される。また、米国では今後決算シーズンを迎えることもあり、業績上振れ期待なども支援材料になる可能性がありそうだ。
一方で米国市場同様、日経平均についても短期的には過熱警戒感が意識されるものの、インデックスに絡んだ商いによるものであり、日経平均の上昇ほど、個人投資家は積極的に買い上がったとは考えづらい面はある。楽観的というよりは過熱感を警戒している状況だろう。それ故に需給は大きく買いに傾きづらく、反対にショートポジションが積み上がりやすいところであろう。そのため、過熱感を警戒しつつも一段の上昇が見込めそうだ。今週のオプションSQ(特別清算指数算出)を前に、ショートカバーが強まる展開も意識しておきたい。
日経平均は1992年の高値23800円処まであと70円程度に迫ってきている。これをクリアしてくると、次のターゲットは1991年以来の25000円が意識されてくることになろう。また、物色についてもテーマ株が循環的に買われているが、こちらも上値追いというよりは、調整一巡感のある銘柄や出遅れ感のある銘柄等に向かいやすい。先行して上昇していた銘柄への利益確定を進めつつ、出遅れ銘柄を見直すことにより、市場全体の底上げといった流れが期待されそうだ。
イベントしては国際家電見本市「CES」(ラスベガス、9日から12日まで)が予定されているほか、10日に独メルセデスの新モデル発表会、11日に独アウディの新年会見、また、東京オートサロンが幕張メッセで12日から14日まで開催される。IoTやAI(人工知能)、自動運転、EV、次世代電池といった関連銘柄への手掛かり材料になりそうだ。その他、年初から仮想通貨関連への物色が強まっており、関連銘柄への関心も引き続き高まることになりそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は米連邦準備制度理事会(FRB)による今年の利上げペースに思惑が交錯し、方向感の乏しい展開となりそうだ。また、ユーロ圏経済の回復を見込んだユーロ買いが継続するか注目される。昨年12月12-13日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨には、FRBによる利上げ継続方針堅持の姿勢が示されていた。反面、2月のイエレンFRB議長交代など人事刷新が予定されており、今後の金融政策に大きな影響を与えるとの見方も市場の一部にあるようだ。
このような状況下で、市場参加者は12月の米生産者物価指数と米消費者物価指数などのインフレ関連指標を点検し、FRBの金利正常化作業の進捗状況を慎重に見極めることになりそうだ。
■来週の注目スケジュール
1月 8日(月):独製造業受注、欧小売売上高、米消費者信用残高など
1月 9日(火):消費者態度指数、独鉱工業生産指数、ユーロ圏失業率など
1月10日(水):中消費者物価指数、米MBA住宅ローン申請指数、米卸売在庫など
1月11日(木):景気動向指数、ユーロ圏鉱工業生産、米新規失業保険申請件数など
1月12日(金):国際収支、米消費者物価コア指数、米小売売上高など
《TM》
提供:フィスコ