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【通貨】欧米為替見通し: ドル・円は弱含みか、米政治情勢や金融政策に不透明感

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を想定したい。米国のトランプ政権や金融政策の先行きに不透明感が広がり、ドルは買いづらい地合いとなる見通し。ただ、今晩発表の経済指標が堅調な内容を示せば、ドル売りを弱める手がかりとなりそうだ。

米バージニア州の白人至上主義者と反対派の衝突に関し、トランプ大統領が白人至上主義者を明確に批判しなかった問題で、大統領への助言機関として大手企業などで構成する戦略・政策評議会と製造業評議会の幹部がトランプ氏を差別主義的なスタンスと抗議し、相次いで辞任。助言機関を解散する事態に追い込まれたことで、今後の政策運営が停滞するとの懸念から、ドルは買いづらい地合いとなっている。白人層からのトランプ氏への支持は強固になる反面、人権問題として議論が広がれば政権支持率の低下につながり、長期的なドル売り要因となる可能性があろう。

一方、前日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月25-26日開催分)は、ややハト派寄りの内容と市場では受け止められたようだ。連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも着手するとみられるバランスシート縮小に関しては反対意見もあり、7月会合後の声明で「比較的早期に」とトーンダウンした経緯が裏付けられた。また、インフレが目標の2%に届かない状況が続くとの意見がみられ、年内の追加利上げに懐疑的な見方が強まった。積極的なドル買いは目先も手控えられそうだ。

今晩は、欧州中央銀行(ECB)が議事要旨公表(20時半)のほか、米国の8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(21時半)、7月景気先行指数(23時)などの経済指標が注目される。ECBは9月の理事会で資産買い入れプログラムの縮小を公表するとみられるが、ドラギ総裁はジャクソンホールでの25日の講演で、金融政策に関する新たなメッセージは打ち出さないとの報道があり、ユーロもやや買いづらくなっている。一方、フィラデルフィア連銀指数や景気先行指数は上振れも期待され、ドル・円は109円台で下げ渋る可能性もある。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・7月小売売上高(前月比予想:+0.2%、6月:+0.6%)
・18:00 ユーロ圏・6月貿易収支(予想:+250億ユーロ、5月:+214億ユーロ)
・18:00 ユーロ圏・7月消費者物価指数改定値(前年比予想:+1.3%、速報値:+1.3%)
・20:30 欧州中央銀行(ECB)が議事要旨発表
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:24.0万件、前回:24.4万件)
・21:30 米・8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(予想:18.0、7月:19.5)
・22:15 米・7月鉱工業生産(前月比予想:+0.3%。6月:+0.4%)
・22:15 米・7月設備稼働率(予想:76.7%、6月:76.6%)
・23:00 米・7月景気先行指数(前月比予想:+0.3%、6月:+0.6%)
・02:00 カプラン米ダラス連銀総裁講演

《CS》

 提供:フィスコ

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