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2016年12月20日20時00分

【特集】ワークライフバランス適正化へ、「働き方改革」は今 <株探トップ特集>


―改革推進企業の取り組みの現場から―

 安倍晋三首相も最優先課題として取り組む働き方改革について、労働時間の是正など民間での動きが活発化している。厚生労働省の統計で平成27年度「精神障害の労災補償」によると、業務量の多さや人員不足などによる長時間労働が原因で自殺した例は年間200件近くでここ数年は推移しており、企業は対策に追われている。少子高齢化社会の日本では、いかに少ない人数で利益をあげるかだけではなく、いかにして従業員のワークライフバランスを適正化するかが今後の課題となっている。そこで、今回は実際に改革を進めている企業の取り組みと、それをサポートする企業に注目したい。

●労働時間の是正でワークライフバランス向上目指す

 新卒女性社員の過労自殺が労災認定された電通 <4324> は労働基準監督署からの是正勧告後、過重労働問題の再発防止に向けた労働環境改革本部を設置した。午後10時以降の業務禁止やマネジメント職の評価に部下からの評価を取り入れる「360度評価」の実施や、有給休暇取得率50%以上を目指すとしている。ただ、早朝に業務のしわ寄せが起こる可能性や、部門ごとに有給休暇の取得率にバラつきがあるため今後の動向に注視したい。

 一方で、すでに労働時間の是正などを積極化させている企業も多い。味の素 <2802> は来年4月から1日の勤務時間を20分短縮しながらも基本給は据え置き、ベースアップに繋げている。日本電産 <6594> は「2020年までに残業をゼロにする」と永守重信会長が述べており、残業削減や会議時間の短縮などを実施して、収益力の底上げを図っている。

 ファミリーレストラン最大手のすかいらーく <3197> は、深夜2時以降朝5時までの深夜時間帯に営業を行っている987店舗のうち約8割を短縮営業に切り替えると発表した。同社はもともと客数減少から深夜営業の見直しを進めていたが、今回は従業員のワークライフバランス向上を目的としている。これに加えて、1日8時間の固定シフトから繁忙期やピークアウトの時期を考慮し、日によって労働時間の変動を許容する。同社IR担当は、「店舗で働く従業員の残業を減らすほか、余暇の時間を増やすため」と話す。洋食ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングス <8179> も深夜の営業形態を終了するとしている。

●多様な働き方を! ロート薬の取り組み

 社員の働き方改革は、なにも労働時間の短縮だけに限らない。ロート製薬 <4527> は2月に発表した新コーポレートアイデンティティー(企業の個性・特徴を明確に提示し、イメージの統一を図る戦略)を実現するため、「社外チャレンジワーク制度」と「社内ダブルジョブ制度」を制定した。前者は、土曜・日曜・祝日・終業後に収入を伴った仕事に就業することを認め、後者は1つの部署にとどまらず、複数の部門・部署を担当できる制度である。「働き方の多様性を認め合い、通常の業務以外にも取り組む自由があることで自己成長を促すきっかけになった」と、同社広報部は話す。この「社外チャレンジワーク制度」は発足当時、約60人が手を挙げ、現在は100人前後がこの制度を利用して会社の枠組みを超えた働き方を実現。人生のやりがいを見出し、それが仕事のモチベーションになることが狙いとしている。

 業務効率化のクラウド開発を手掛けるサイボウズ <4776> も12年から副業を認めている。また、最長6年間の育児・介護休暇制度を導入したり、ライフステージに合わせて勤務時間や場所を決めることが可能になっている。

●勤務体制整え人材確保

 一方で、ゼンショーホールディングス <7550> の牛丼チェーン「すき家」は、従業員の給料を引き上げたのをはじめ、店舗に複数人配置してワンオペレーション状態から脱して、深夜営業を順次再開している。「時給をアップしたことや、勤務体制を変えたことでアルバイトの応募人数は前年比で増えている。仕事にやりがいを見いだせる環境を作ることで人材確保を狙っている。今後も24時間営業は続けていく」と広報担当者は力強く話した。

●改革を背景に福利厚生も充実化

 従業員の労働環境の向上の一環として、福利厚生の充実も進められている。留守宅管理や福利厚生運営代行業を手掛けるリログループ <8876> は、それらの需要を取り込んで業績を拡大している。「働きやすい環境づくりを背景に引き合いは確かに増えている」と経営企画室担当者。今後は地方企業への営業を強化し、17年3月は売上高2020億円(前期比10.2%増)、営業利益130億円(同19.9%増)を見込んでいる。また、アドバンテッジリスクマネジメント <8769> [JQ]は、第1回ストレスチェックの実施による企業側のニーズを取り込み、17年3月期予想は売上高36億1500万円(前期比26.5%増)、営業利益は4億3500万円(同81.5%増)としている。さらに、パソナグループ <2168> で福利厚生事業を手掛けるベネフィット・ワン <2412> [東証2]は順調に会員数を伸ばしているほか、バリューHR <6078> は企業・個人向け両方の福利厚生プランを手掛けている。

株探ニュース

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