市場ニュース

戻る
 

【経済】自民党がカジノ法案可決を急ぐわけ


統合型リゾート(IR)整備推進法案」(通称カジノ法案)が、わずか2日の審議で衆院内閣委員会において可決され、今週にも衆議院で可決されようとしている。公明党の反対でほぼ死に体となり、長期間話題にすらのぼらなくなっていた同法案が突如復活し、異例のスピードで成立しそうな勢いだ。
 与党内からも拙速との批判があるほどのスピードだが、ロシアとの北方領土問題が思ったように進展せず、環太平洋貿易協定(TPP)がトランプ次期米大統領の明確な反対で成立が厳しい情勢となり、アベノミクスの目玉がなくなる危機感から、やむなくカジノ法案を持ち出してきたということだろう。時期的にも東京五輪後の経済失速を防ぐという狙いがあるのかもしれない。同法は議員立法だが、安倍政権の強い意向が背景にあるのは間違いない。アベノミクスで明確に成功しているのは、訪日外国人数の増加のみだが、同法はそれをさらに後押しするという位置づけもあろう。
 それにしても、議論は煮詰まっておらず、生煮えでの法案成立はやはり拙速との批判は免れないだろう。
 ただ、一方の野党によるギャンブル依存症が増えるという単純な理由による反対もいかがなものか。ギャンブル依存症を問題にするなら、全国津々浦々に存在するパチンコ店の存在を無視することはできない。パチンコ店にはカジノの定番ともいえるスロットもあるし、身近で多数あることからギャンブル依存症という点では、全国に数か所できるかどうかのカジノより大きな問題だろう。法的にもグレーな部分が必ずしもクリアーになっていないのであるから、パチンコ店への規制を強化し、カジノに集約する等の対案があってもよいのではないだろうか。
 経済効果の最大化と、副作用を極力抑える方策について、総合的にみて最もよい形にするために知恵を出し合い、議論を尽くして欲しいものだ。
《YU》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均