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【特集】自動車“サイバー攻撃”を防止せよ、米国では140万台リコールに <株探トップ特集>

アドソル日進 <日足> 「株探」多機能チャートより

―コネクテッドカー普及控え対策急務、自動車メーカーは対策組織設立―

 コネクテッドカー(情報端末としての機能を有する自動車)の普及が今後拡大すると予想されるなか、関心が高まっているのが自動車のサイバーセキュリティーだ。トヨタ自動車 <7203> や日産自動車 <7201> 、ホンダ <7267> など国内の自動車メーカーは共同で、来年1月にもサイバー攻撃に対する組織を新たに設立し、関連する情報を共有する仕組みをつくる予定で、今後大きな話題となりそうだ。

●コネクテッドカー、30年に6億8000万台へ

 コネクテッドカーの本格的な普及が始まろうとしている。コネクテッドカーとは、通信モジュール内蔵や、モバイル端末と連携することでインターネットに常時接続することが可能な自動車のこと。国内では、まだ一部の高級車がネットへの常時接続に対応しているだけだが、トヨタでは今年6月、KDDI <9433> とコネクテッドカーを対象とした通信サービスで協力すると発表するなど、普及に向けた動きが加速しようとしている。

 総合マーケティングビジネスの富士経済(東京都中央区)が今年1月に発表したリポートによると、コネクテッドカーの世界市場は累積台数ベースで2014年末に1億1197万台となり、全乗用車の14%を占めたという。さらに30年には6億8249万台に拡大すると予測しており、20年までに実用化が計画されている自動運転でも、コネクテッドカーが重要な役割を果たすといわれている。

●サイバー攻撃でリコールにつながるケースも

 コネクテッドカーは、ネットに常時接続していることから、カーナビゲーションなどのソフトを自動更新できるといったメリットがあるほか、車両の状態や周囲の道路状況などのデータをセンサーにより取得し、ネットを介して収集・分析することで新たな価値を創造すると期待されている。ただ、ネットにつながるということは、パソコンやスマートフォンと同様にサイバー攻撃にさらされることも意味している。

 米国では15年に「ジープ・チェロキー」を遠隔で乗っ取り、走行中にトランスミッションを切断する手法が研究者によって明らかにされ、フィアット・クライスラー・オートモービルズが140万台をリコールする事態に発展した。自動車という製品は、人命に大きな影響を与える可能性が大きいだけに、サイバー攻撃への対策は急務といえるだろう。

●アドソル、ラックは業界に先駆けソリューション、サービスを提供

 自動車のサイバーセキュリティーに関して、注目度が高まっているのがアドソル日進 <3837> だ。トヨタの車載OSを共同開発した経緯があることに加えて、米リンクス・ソフトウエア・テクノロジーズのIoT(モノのインターネット)向けセキュリティーソリューション製品「LynxSECURE」を展開。車のOSを複数載せてコントロールする製品で、ハードウエアのリソースを各ドメインに振り分けることで、ウイルスが侵入しても被害を最小限に抑えられる仕組みを持つのが特徴だという。

 また、ラック <3857> [JQ]では、子会社のネットエージェントが今年8月から「自動車セキュリティ検査サービス」を開始した。メーカーが開発中の車に無線回線を通じて攻撃者視点で侵入し、セキュリティー上の脆弱性を発見し対処を促すというサービスだ。年間12車種程度の受注を目指すとしており、先駆するサービスとして注目されている。

●住友電工、大日印も自動車サイバーセキュリティーに参入

 住友電気工業 <5802> では、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、サイバー対策の技術開発に取り組んでいる。産総研が保有する暗号技術などを活用する方針で、住友電工の主力製品である自動車関連分野への技術開発に注力する方針だ。

 また、大日本印刷 <7912> は、今年1月に東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド2016」内の「第4回コネクティッド・カーEXPO」において、自動車へのサイバー攻撃を防ぐ「車載セキュリティーソリューション」を紹介した。スマホで利用されているアプリを応用することで、車載情報機器向けアプリの不正改ざんを防ぐことができるという。

 このほか、パナソニック <6752> は車載ネットワーク「CAN」を通って不正な信号が電子制御ユニットに届くのを阻止する技術を開発したが、そのパナソニックとIoT機器のセキュリティーに関し共同研究を行うFFRI <3692> [東証M]や、トレンドマイクロ <4704> とコネクテッドカーのセキュリティーについて共同研究を行っているユビキタス <3858> [JQ]などの今後の動向にも注目したい。

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