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【材料】【FISCOソーシャルレポーター】個人投資家DAIBOUCHOU:マークラインズの第2四半期決算

ジャスダック <日足> 「株探」多機能チャートより

以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家DAIBOUCHOU氏(ツイッター:@DAIBOUCHO )が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2016年8月15日13時に執筆

フィスコソーシャルレポーターのDAIBOUCHOUです。

8月2日にマークラインズ(JASDAQ 3901)が第2四半期決算を発表しました。営業利益と経常利益の違いを理解する上でも良い事例なので、今回は、マークラインズの第2四半期決算について解説します。

マークラインズは、自動車産業向けに会員制ポータルサイトを運営する会社です。日本だけでなく、欧米、中国など全世界の自動車関連会社が会員となっています。

マークラインズは、営業利益が1億8642万円から2億3380万円へ、25.4%増益だったのに対し、経常利益は1億9398万円から2億527万円へ、5.8%の増益に留まりました。この経常利益の増益率の悪さを理由に、株価も下落しています。

なぜ、経常利益の増益率が悪いのでしょうか?

営業利益と経常利益を確認するためには、損益計算書(P/L)で確認します。前期は営業外収益で為替差益が227万円得られた反面、今期は為替差損で3347万円の損失が発生しており、為替損益で合計3574万円の損益差が発生した事が分かります。

なぜ、為替差損が発生したのでしょうか?

決算短信の「当四半期決算に関する定性的情報」に、決算期中に発生した事柄が説明されており、為替差損の事も決算短信のP.2に書かれています。「米ドル及びユーロ建て契約代金の受け皿である外貨預金口座の資金を円貨に転換したこと」が主因との事です。今回の第2四半期の期間は、今年1月から6月末までの半年間です。1ドル120円から100円へ、半年で20円も円高ドル安が進む急激な為替変動がありました。この為替変動が原因で為替差損が発生した訳です。

次にマークラインズの為替変動の影響を細かく調べます。

第2四半期決算ではなく、半年前の本決算での決算短信P.5に、海外向け価格は、円貨建料金をベースに外貨換算した料金価格体系で、外貨変動に応じて外貨建料金を改定すると書かれています。緩やかな為替変動なら料金改定で調整し、為替差損の発生を回避出来そうですが、ここ半年間の急激な為替変動により、料金改定が間に合わなかった事が推測出来ます。為替レートに合わせた頻繁な料金改定は、海外顧客を不安にさせて、解約の原因にもなるので、難しかったのでしょう。

この第2四半期決算をきっかけにして、マークラインズの株価は下落しました。今思えば、第1四半期決算の時点で為替差損1230万円が発生していた事に気付くべきでした。円高ドル安が進み、為替差損が広がる事を懸念して、第2四半期決算の前に売却して、第2四半期決算の後に、安くなったところを買い戻すべきでした。

ただ、今回の為替差損の発生源となった外貨預金口座の外貨は円貨に転換され、残高は減少したと思われます。また、現在の為替レートをベースに外貨建ての利用料も料金改定すれば、為替差損の発生はある程度防げそうです。

懸念材料は、海外顧客から見れば、料金値上げとなるため、海外顧客の解約が心配です。これは、今後の契約企業数の月次推移レポートを確認し、海外顧客の推移を把握すべきです。ただ、マークラインズのような世界的な自動車産業ポータルは競合他社に無く、解約は限定的だと思われます。

以上のように、営業利益は本業の利益、経常利益は本業の利益に加え、為替損益や各種金融収支など、本業以外の営業外損益を加えた利益と言えます。マークラインズは、本業は順調だが、本業以外の為替差損が問題となったという事です。

営業利益と経常利益のどちらを重視するかは、金融収支の重要性次第です。マークラインズは金融収支で儲けるタイプの会社では無く、為替損益はマークラインズの実力と無関係ですので営業利益を重視すべきでしょう。

最大の収益源である自動車産業ポータルの契約企業数は加速的に増加しており、プロモーション広告LINEがスタートして、自動車産業のBtoB市場の仲介役として広告収入が獲得出来そうです。運営する自動車産業ポータルが唯一無二の独占的インフラになれれば、為替差損など軽微な問題です。仮に25%増益が3年続けば、利益は倍増する訳で、時間が解決する問題と思います。

ただ、相場観として、今年、比較的調子が良かったマザーズ指数が下落基調となり、逆に大企業の株が反発傾向となっており、その需給の変化でマークラインズのような中小型株が売られる逆風を感じますので、無理の無い中長期投資が肝要だと思います。

執筆者名:DAIBOUCHOU(ツイッター:@DAIBOUCHO )

《TM》

 提供:フィスコ

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