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【特集】サン電子 Research Memo(6):17/3期はモバイルデータソリューション事業の伸びなどで増収増益見込み

サン電子 <日足> 「株探」多機能チャートより

■決算動向

(3) 2017年3月期の業績予想

2017年3月期の業績予想についてサン電子<6736>は、売上高を前期比4.9%増の24,000百万円、営業利益を同71.3%増の700百万円、経常利益を同116.0%増の400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同61.7%増の250百万円と増収増益と見込んでいる。

売上高は、引き続き厳しい業界環境にある遊技台部品事業及びホールシステム事業の縮小を想定しているものの、モバイルデータソリューション事業を再び成長軌道に戻すことで業績の回復を図る計画である。また、注力するM2M事業についてもBacsoft社の通期連結による寄与及び導入実績の積み上げにより大きく伸びる見通しとなっている。

損益面では、モバイルデータソリューション事業及びその他事業(M2M事業、新規事業)に対する先行費用の高止まりが想定されるものの、増収によって吸収することで増益を確保するとともに、営業利益率も2.9%(前期は1.8%)に改善する見通しである。なお、経常利益が営業利益と比べて大きく減少するのは、まだ研究開発段階にある持分法適用会社3社(CommuniTake社、Cellomat社、InfinityAR社)による持分投資損失(3社合計の概算額で270百万円)を営業外費用として織り込んだものである。

事業別の業績見通しは以下のとおりである。

モバイルデータソリューション事業は、売上高を前期比13.2%増の13,533百万円と見込んでいる。そのうち、MLC向けが同8.0%増の3,950百万円、フォレンジック向けが同15.4%増の9,583百万円とそれぞれ伸長する見通しとなっている。MLCについては、従来のデータ移行に関するサービスの伸びは限られるものの、故障診断(Diagnostics)など店頭業務の効率化に向けたソリューションの導入促進を図る。また、フォレンジックについても、各国の需要拡大や販売体制強化等の効果により大幅な回復を目指している。損益面でも、前期までの販管費拡大の影響が残るものの、増収によって吸収することで大幅な増益となる見通しである。

その他事業(M2M、ゲームコンテンツ等)は、売上高を前期比51.8%増の2,340百万円と見込んでいる。そのうち、M2M事業が同57.1%増の1,698百万円、ゲームコンテンツが同25.0%増の570百万円、新規等が72百万円(前期は3百万円)とそれぞれ伸長する見通しである。M2M事業は、前期に連結化したBacsoft社が期初から寄与(9ヶ月間の上乗せ)するとともに、国内実績の積み上げにより事業拡大を目指す。また、ゲームコンテンツも新タイトル等などにより増収を確保する想定となっている。新規等は下期にAR分野における実証実験などの試作売上等を見込んでいる。ただ、損益面では、前期に比べて改善するものの、のれん償却費(Bacsoft社200百万円)を含めた先行費用の高止まりにより利益確保には至らないようだ。

遊技台部品事業の売上高は前期比14.6%減の5,823百万円、ホールシステム事業の売上高は前期比10.1%減の2,304百万円とそれぞれ縮小する見通しである。遊技機の自主規制等の影響に加え、伊勢志摩サミット(5月開催)に合わせた新台設置の自粛の影響もあり、より厳しい市場環境を想定している。

弊社では、遊技台部品事業及びホールシステム事業を取り巻く環境は厳しいものの、前期業績にブレーキをかけた一時的な要因(買い替え需要の先食いによる反動減や予算執行の延期等)が解消に向かうことや、世界的な需要の拡大等を追い風としてモバイルデータソリューション事業が大きく回復するものとみており、同社の業績予想の達成は可能であると判断している。ただ、業績の伸びが総じて下期偏重になっているところには注意が必要である。なお、期末(2016年12月末)の為替相場(換算レート)を105円と想定しているが、それ以上の円高進行が業績の下振れ要因となる可能性にも注意が必要である。

また、同社では2017年3月期を2018年3月期の成長に向けた取組みの期としており、AR事業などの取組みの進捗にも注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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