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【市況】英国のEU離脱を巡る国民投票、そう簡単にアク抜け期待にはつながらず/ランチタイムコメント

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

 日経平均が大幅に反発。251.52円高の15685.66円(出来高概算9億株)で前場の取引を終えている。16日の米国市場では日銀による政策金利の据え置きや、英国のEU離脱問題への警戒、原油相場の下落などから売りが先行したが、引けにかけて自律反発の流れが強まった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比195円高の15565円となり、朝方はこれにさや寄せする格好から、買い先行で始まった。

 また、日米欧の主要中央銀行が金融市場への緊急のドル資金供給の検討を始めたとの報道や麻生財務相による「英国が強いEUの中にとどまっている方が望ましい」との見解などが伝わると、円相場は1ドル104円台半ばまで円高が修正される格好となり、これも安心感につながった。

 もっとも、英国のEU離脱を巡る国民投票まで1週間を切っており、積極的な参加者は限られている。そのため15600円を回復して始まった日経平均は、前場半ばに一時15774.87円まで切り返す場面もみられたが、その後は15700円を挟んでのこう着が続いている。東証1部の騰落銘柄は、値上がり数が全体の8割を占めている。規模別指数は大型、中型、小型株指数いずれも2ケタの上昇。セクターでは33業種すべてが上昇している。

 日経平均は円相場の円高一服を背景に自律反発の動きをみせている。ただし、自律反発の域は脱せず、5日線辺りに上値を抑えられている。ボリンジャーバンドでは-3σから-2σ水準まで戻してきており、売られ過ぎによる修正は完了した感もある。週末要因のほか、なにより英国のEU離脱を巡る国民投票といった重要イベントを来週に控えていることもあり、ポジション調整にとどまりそうである。

 EU残留支持の女性議員が銃撃され死亡したと報じられたなか、残留支持に一気に傾くのではないか、との声も聞かれる。為替市場ではそれを受けて円高一服となっている面もあろう。しかし、オーバーウィークのポジションを取るほど楽観視はしていない。今年最大のリスク要因を控えて、アク抜け期待といったポジションはそう簡単には取れないだろう。大引けにかけての短期筋のポジション調整辺りにとどまりそうだ。(村瀬 智一)
《AK》

 提供:フィスコ

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