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【特集】エクストリーム Research Memo(5):ソリューション事業の好調で業績は過去最高を記録

エクストリム <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

(1) 2016年3月期業績

エクストリーム<6033>の2016年3月期業績は、売上高が、前期比44.1%増の2,403百万円、営業利益は同1.7%増の188百万円、当期純利益は同9.7%増の120百万円と増収・増益を確保し、売上高、すべての利益がそろって過去最高を更新した。

売上高はソリューション事業の好調が原動力となり前期比で40%を超える高い伸びを記録した。一方、売上原価はエンジニアの採用積極化や、家庭用ゲーム参入によるコスト増などにより前期比48.5%増の1,648百万円へ増加、売上総利益率は同2.0ポイント低下し31.4%となった。販管費は上場関連費用、社内関連費用、移転準備関連費用などにより同52.3%増の566百万円へ拡大。この結果、営業増益を確保したものの、営業利益率は前期の11.1%から7.8%へ3.3ポイントの低下を余儀なくされた。

なお、会社計画(売上高2,200百万円、営業利益200百万円、当期純利益117百万円)対比では、売上高、当期純利益は計画を上回ったものの、営業利益は、計画を12百万円下回った。これは、2016年3月に本社移転※を決定したことに伴い利用不能となる固定資産の減価償却の前倒し処理等の関連費用12百万円を計上したことによる。

※2016年9月中旬に池袋駅のメトロポリタンプラザビル21階へ移転する予定。移転の理由は業容の拡大に伴う人員増加に対応し、本社機能の充実と効率的な組織運営を実現するとともに、優秀な人材を採用するために、より優れた立地、交通アクセスなどを勘案して決定した。

セグメント別に見ると、ソリューション事業の売上高は前期比40.1%増の2,027百万円、セグメント利益は同44.5%増の518百万円と大幅な増収・増益となった。この要因は、1)エンターテインメント系でスマートフォンアプリを中心とする開発案件の受注が好調に推移した(エンターテインメント系ソリューション事業におけるスマートフォンアプリのウエイト2015年3月期55.0%→2016年3月期70.0%)、2)Webサービス系ユーザーへの営業を本格的に開始したことにより非エンターテインメント系の新規顧客開拓に成功した(非エンターテインメント顧客売上ウエイト2015年3月期11.8%→2016年3月期30.0%)、3)事業戦略室を設置した効果により単価戦略、採用強化策、定着率向上施策などのワークフロー化を行い営業効率が向上した、4)研修プロジェクトの継続実施によりクリエイター、エンジニアが順調に増加した(クリエイター&エンジニア数2015年3月期217人→2016年3月期307人)、などによる。ちなみに、月次売上高は2016年2月に初めて200百万円を突破している。

一方、コンテンツプロパティ事業は、売上高が前期比71.2%増の375百万円と大幅に増加したものの、セグメント利益は41百万円の損失へ転落した。売上高が大きく伸びたのは、ゲームサービスで家庭用ゲームの参入第1弾タイトルとして任天堂<7974>3DS向けに「ラングリッサー リインカーネーション?転生?」を7月に投入したことによる。にもかかわらず、セグメント利益が損失となったのは、1)「ラングリッサー」が計画本数に達しなかった、2)「桃色大戦ぱいろん・モバ雀」のサービスを終了したことに伴い資産を償却した、3)協業開発サービスで大手パブリッシャーからの大型Webゲームの開発案件がユーザー都合により第3四半期で打ち切られた、ことがマイナス要因として働いたためだ。ただ、ライセンスサービスで、「ラングリッサー」の海外版ライセンス許諾契約を締結※したことがプラス要因として働いたために、損失幅は小幅にとどまった。

※許諾契約の内容は、米国Aksys Games Localization,Inc.とライセンス許諾契約を締結し、全世界での販売権を許諾するとともに開発(ローカライズ)案件を受注した。加えて、保有IPである「ラングリッサー」シリーズをスマートフォンアプリ向けに中国天津紫龍奇点互動娯楽有限公司(許諾地域は、中国本土、香港、台湾、マカオ、韓国、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポール、アメリカ、カナダ)へライセンス許諾した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)

《HN》

 提供:フィスコ

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