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2016年06月08日16時30分

【特集】極洋 Research Memo(4):16/3期は円安などの影響により減益で着地

極洋 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

(1) 2016年3月期の業績

●損益状況
極洋<1301>2016年3月期(2015年4月?2016年3月)は売上高で226,626百万円(前期比3.8%増)、営業利益で2,433百万円(同1.1%減)、経常利益で2,814百万円(同33.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,799百万円(同26.1%減)となった。既に中間期時点で期初の予想を下方修正しているが、その修正予想を若干下回る結果となった。予想を下回った主な要因は、主力の水産商事部門の利益が市況の高止まり、円安の影響などにより前期比で減益となったことに加え、冷凍食品部門の利益も海外工場での原料高や円安による加工賃アップによって減益となったためだ。

経常利益は増益となったが、これは主に前期に営業外費用として計上した持分法による投資損失(378百万円)と為替差損(146百万円)がなくなったためである。一方で特別利益(厚生年金基金代行返上益3,521百万円)もなくなったことから親会社株主に帰属する当期純利益は減益となった。

各部門別の状況は以下のようであった。

a)水産商事事業
水産商事事業の業績は、セグメント別売上高で112,809百万円(同0.9%増)、営業利益で1,700百万円(同10.0%減)となった。赤魚やカラス鰈などの凍魚加工品は伸び悩んだものの、定塩サケ製品、伸ばしエビなど付加価値製品の販売に注力したことで、これら製品の売上高は順調に拡大し全体の売上高は前期比で増加となった。しかし厳しい買付環境が続いたことや、円安によるコストアップ、加工賃の上昇などにより利益は減少となった。

b)冷凍食品事業
冷凍食品事業の業績は、セグメント別売上高で67,590百万円(同7.7%増)、営業利益で268百万円(同34.3%減)となった。生食商品(寿司種商品が中心)の売上げが引き続き好調であったこと、2013年7月に発売した業務用商品「だんどり上手」シリーズが事業所給食向け及び高齢者施設向けに順調に伸びていること、エビフリッターやカニカマなどの加工冷凍食品も順調であったことなどから前期比で4,800百万円ほどの増収となった。また2014年1月に参入した家庭用冷凍食品は、まだ売上規模は小さいものの、取扱店舗はイトーヨーカ堂、イオンなどの大手量販店も含めて5,000店以上に拡大した。

ただし利益面においては、海外工場(タイ)での稼動が期待したほどうまく上がらなかったこと、原料価格の上昇を製品価格に転嫁できなかったこと、円安の定着によるコストアップなどから大幅な減益となった。

c)常温食品事業
常温食品事業の業績は、セグメント別売上高で17,959百万円(同2.8%増)、営業利益で391百万円(同27.5%増)と増収増益となった。円安等による原材料高を反映した価格改訂がようやく浸透してきたことから利益率が改善し、さらにコンビニエンスストア向けの海産珍味類が順調に拡大したこと、海外まき網船「わかば丸」の良質な原料によるツナ缶などが順調に伸びたことなどが増益に寄与した。このツナ缶は調達、加工、販売を同社が一貫して手掛けており、他社に対する差別化製品として今後も増やしていく方針だ。

d)物流サービス事業
物流サービス事業の業績は、セグメント別売上高で2,958百万円(同6.0%減)、営業利益で216百万円(同46.0%増)となった。冷蔵倉庫では、2014年末に稼動を開始した城南島事業所がその後も順調に稼動していることなどから増益に寄与した。

一方で冷蔵運搬船は、運航する3隻すべてを中南米・欧州間でのバナナ輸送の年間契約へ効率的に配船したことや円安のプラス効果により減収ながら利益を計上した。この結果、セグメント全体では減収ながら増益となった。但し冷蔵運搬船事業については、市況が不安定なこともあり、事業の縮小が検討課題となっている。

e)鰹・鮪事業
鰹・鮪事業の業績は、セグメント別売上高で24,888百万円(同8.9%増)、営業利益で354百万円(前期は12百万円の損失)と前期比では売上、利益ともに大幅に回復した。

海外まき網事業では、エルニーニョの影響による漁獲不振などもあり水揚げ量は30千トン(同1.0%減)であったが、魚価(平均単価)が185円/kg(同+11円/kg)と回復したことから、水揚金額は56億円(同2億円増)となった。コスト面では入漁料の高止まりなどがあったが、燃油価格の下落やドック経費の削減を進めたことなどから損益は大幅な黒字転換となった。また加工販売事業では、脂もの(インドマグロ、南マグロ等)を中心に寿司種用の販路が拡大したことに加え、ネギトロやタタキ製品なども好調であったことが収益改善に寄与した。

養殖事業はまだ赤字を計上しているが、引き続き種苗の新規仕入れルートの開拓及び歩留まりの維持向上を図っている。完全養殖クロマグロの初出荷(2018年予定)に向けて沖出し尾数は順調に増加しており、中長期的には今後の展開が期待できる分野である。

●財政状況
2016年3月期の財政状況は以下のようになった。流動資産は70,426百万円(前期末比565百万円増)となったが、主に増収に伴い、棚卸資産が1,115百万円増となったことが要因である。一方で、固定資産は24,181百万円(同5,105百万円増)となったが、主に設備投資(塩釜の新工場建設)による有形固定資産の増加4,730百万円が要因。この結果、総資産は94,608百万円(同5,670百万円増)となった。

負債合計は、支払手形及び買掛金の増加1,022百万円、短期借入金の一部を長期借入金へシフトしたことなどから、71,542百万円(同5,675百万円増)となった。純資産は、主に利益剰余金の増加1,202百万円等により、23,065百万円(同4百万円減)となった。この結果、自己資本比率は23.9%(前期末比1.6ポイント減)となった。

●キャッシュ・フローの状況
2016年3月期のキャッシュ・フローは以下のようになった。営業活動によるキャッシュ・フローは2,689百万円の収入(前期は2,340百万円の支出)となった。主な収入は税金等調整前当期純利益2,561百万円、減価償却費1,527百万円、仕入債務の増加1,378百万円、主な支出は売上債権の増加300百万円、棚卸資産の増加1,239百万円などであった。在庫管理を重要な課題として掲げているが、棚卸資産の増加は前期(4,226百万円)よりは改善している。

投資活動によるキャッシュ・フローは5,114百万円の支出(同762百万円の支出)となった。主に塩釜工場を中心とした固定資産の取得による支出5,150百万円による。

財務活動によるキャッシュ・フローは2,482百万円の収入(同3,698百万円の収入)となった。主な増減要因としては長期・短期借入金の増加による収入3,241百万円、配当金の支払による支出525百万円などである。

この結果、現金及び現金同等物は前期末に比べて40百万円減少し、期末の同残高は4,030百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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