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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:イエレンFRB議長講演、日銀追加刺激策、先物オプションSQ

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限16800-下限15800円

来週は雇用統計の結果を受けた米国市場や為替市場の反応に週初は振らされることになる。非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月比3万8000人増と、コンセンサス(16万人増)を大きく下回り、雇用減少に歯止めが掛かった2010年以降で最も少ない増加数にとどまった。失業率は4.7%に低下したが、労働人口の縮小を浮き彫りにしたとも捉えられている。

3日の米国市場は、これが嫌気されるものの、結果的には6月利上げの可能性がなくなったとの見方から、NYダウは30ドル安程度の下げにとどまっている。一方で、円相場は1ドル106円台に突入し、シカゴ日経225先物清算値は16330円と、大阪比で300円超の下落となっている。週明けの日本株市場はこれにさや寄せする格好から、波乱含みの相場展開を余儀なくされよう。

週明け6日にはイエレンFRB議長の講演が予定されており、利上げのタイミングを見極めることになりそうだ。今回の統計で市場が予想する利上げ時期として6月の可能性が消えたことはほぼ確実だが、7月の可能性は排除できないとみられている。また、9月に先延ばしとの見方もされているなか、イエレン議長の講演が注目される。もっとも、雇用統計が通過したとしても、アク抜けにはつながらず、不安定な相場展開が続くとみられる。

その懸念の一つが欧州連合(EU)残留・離脱を問う英国の国民投票である。英国の国民投票が23日に迫るなか、押し目買いは入れづらいだろう。今年最大のリスク要因とみられており、リスク回避の流れが続きそうである。円相場もドル安に振れやすく、物色は個別対応になりそうだ。

また、積極的な参加者が限られるなか、週末にはメジャーSQが控えている。先物主導での不安定な相場展開を警戒しておく必要もあろう。日経平均の価格帯別出来高でみると、先週の週前半に売買の膨らんでいた16800-17000円処をようやく突破した。

しかし、アベノミクスに対する懸念から週後半には再びこれを再び割り込んでしまっており、今後は相当上値の抵抗として意識されてくるだろう。一方で下値については、直近安値の16000円辺りが意識されやすい。しかし、出来高の膨らんでいる水準は16100-16200円辺りであり、まずはこの辺りで踏ん張りをみせたいところ。これを割り込んでしまうと、15800円辺りが意識されてくる。

なお、翌週16日には日銀の金融政策決定会合が開かれるが、金融緩和と財政出動、構造改革を三本の矢とするアベノミクスに対する失望が高まるなか、追加の刺激策への期待感が次第に高まることになりそうだ。



■為替市場見通し

来週のドル・円は弱含みか。6月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決定される可能性はほぼ消滅した。5月米雇用統計の悪化を受けて市場関係者の関心は年内追加利上げの有無に向けられており、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長などの金融当局者の発言内容が材料視されそうだ。

イエレン議長が追加利上げに前向きな見解を表明した場合、ドルを買い戻す動きが広がりそうだが、早期追加利上げの必要性について言及しなかった場合、ドルの上値はやや重くなる可能性がある。

なお、2日に開かれた石油輸出国機構(OPEC)総会では、任意の生産を事実上容認する方針を維持することが決まった。新たな生産上限は設定されていないことから、供給増への懸念が再び強まり原油先物が軟調に推移した場合、リスク回避的な円買い・ドル売りが増える可能性があるので注意したい。



■来週の注目スケジュール

6月 6日(月):車名別新車販売、米労働市場情勢指数、イエレンFRB議長講演など
6月 7日(火):景気動向指数、独鉱工業生産指数、中外貨準備高など
6月 8日(水):1-3月GDP改定値、景気ウォッチャー調査、英鉱工業生産指数など
6月 9日(木):機械受注、中消費者物価指数、ドラギECB総裁講演など
6月10日(金):国内企業物価指数、米財政収支など
6月12日(日):中鉱工業生産、中小売売上高など

《TM》

 提供:フィスコ

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