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【経済】NYの視点:メンバー多数がハト派FOMCガイダンスに異議、利上げ軌道に不透明感


米国の利上げ軌道見通しに混乱が生じている。先週開催された3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)のハト派フォワードガイダンスにこれまでに、17名のメンバーのうち7名のメンバーが異議を唱えた。「6月利上げの基盤を築く」と見られていた3月のFOMCは予想外にハト派色を強めた。米国経済やインフレが順調に回復しているにもかかわらず、声明に「世界経済の展開は依然リスクとなる」との文言が加えられ、金利見通しは下方修正された。

一方、会合後、FRBメンバーからはFOMCの利上げの軌道に変更はなく、4月、6月の追加利上げの可能性も除外しないとの意見が多く聞かれる。2016年の投票権を持ち、中立派として知られ、その見解にしばしば注目が集まる米セントルイス連銀のブラード総裁はブルームバーグTVのインタビューで、「全ての会合で利上げの選択肢がある」、見通しに大きな変化はなく「4月の追加利上げの可能性もある」との見解を示した。

中立派で、そのタカ派の見解に注目された米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁や米アトランタ連銀のロックハート総裁に続いた。米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も「FRBは利上げを進め、4月も追加利上げを検討すべきだ」との見解を示した。タカ派として知られる米カンサスシテイ連銀のエスタージョージ総裁や米リッチモンド連銀のラッカー総裁は、さることながら中立派のメンバーが4月の利上げの可能性に言及したため、年内の追加利上げ観測が再燃しドル買いにつながった。

ブラード総裁はさらに、「市場はハト派色を織り込みすぎている」と述べたほか、混乱のもとになった金利予測分布図(Dot Chart)の有益性にも疑問を投げかけた。通常はハト派として知られるシカゴ連銀のエバンズ総裁でさえ米国経済のファンダメンタルズの強さに振れ「年2%以上の成長予想を表明。通常よりハト派色を弱めた。

以下に状況を整理する。

1)米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁
マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、国際状況が改善した場合、4月または6月の追加利上げの可能性も十分あり得るとの見解を示した。利上げ軌道に変更がないことも確認。米国経済は世界経済の悪化などの逆風に対して回復力があり、米国の強い指標が続けば、追加利上げに踏み切ることになると指摘した。

2)米アトランタ連銀のロックハート総裁
米国経済に関する講演で、「早くて4月の追加利上げが正当化される」との見解を示し、「FRBは依然、緩やかな利上げ軌道にある」と再確認した。FRBは責務目標のひとつ完全雇用により近づいており、また、最近の指標が2016年後半にインフレが上昇することを示唆していると説明した。雇用は2016年を通り拡大を継続、消費も健全なペースで拡大していると説明。

3)ハーカー米フィラデルフィア連銀
FRBは利上げを進め、4月も追加利上げを検討すべきだとの見解を示した。

4)シカゴ連銀のエバンズ総裁
米国経済のファンダメンタルズの強く、本年は2%以上の成長を予想している。

5)エスタージョージ米カンサスシテイ連銀総裁
3月FOMCで「25べーシスポイントの追加利上げが必要」と主張し、据え置きの決定に反対票を投じた。

6)セントルイス連銀のブラード総裁
ブルームバーグTVインタビューで、「FOMCが後手に回る可能性はやや高まった」とし、「全ての会合で利上げの選択肢がある」「見通しに大きな変化はなく「4月の追加利上げの可能性もある」との見解を示した。さらに、「FRBは各会合で指標に基づく行動が必要」と指摘。2016年の成長ペースも「弱まるが、依然良好」と予想している。

7)米リッチモンド連銀のラッカー総裁
フランスパリでの講演で、FRBが物価目標としている個人消費支出(PCE)に関して1月は近年にない想定以上の伸びを見せたとの見解を示した。原油安やドル相場が落ち着けば「コアCPIは2017年に2%へ上昇する」と述べた。

《NO》

 提供:フィスコ

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