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【市況】国内株式市場見通し:中国を睨みながらの相場展開、目先は売り安心感の中でショート戦略が奏功


■2016年相場は波乱のスタート

2016年相場は波乱のスタートとなり、日経平均は大発会から5日続落で下落幅は最大で1500円を超える場面もみられた。中国の2015年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が低調だったのを受けて中国・上海指数が大幅安にとなり、中国経済への懸念からリスク資産を圧縮する流れが強まった。中国人民銀行が人民元の基準値を元安水準で設定したことを受け、為替市場では一時1ドル117円台に突入。上海指数等はサーキットブレーカー発動を交えての下げとなったほか、サウジアラビアとイランの緊張による地政学リスクへの警戒、さらに北朝鮮の水爆実験の発表などが相次ぎ、リスクオフの流れが強まった。これにより、昨年末から活発だった個人主体のテーマ株物色も次第に利益確定の流れが優勢となった。

■シカゴ先物は410円安、日経平均は連続安記録へ

連休明け12日の日本株市場は、引き続き波乱の展開になりそうだ。2015年12月の米雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比29万2000人増(予想21万人程度)となった。雇用者数の伸びは好感されたものの、原油先物相場の下げが嫌気された。シカゴ日経225先物清算値は17280円と大阪の8日終値17690円から410円安の水準に下げている。週明けの海外が急激に切り返せれば波乱は回避される可能性はありそうだが、世界第2位の原油消費国である中国の景気不安に原油価格の30ドル割れが視野に入るなか、市場の関心は日経平均の大発会からの連続安記録といったところか。

■中国は高ボラティリティの状況が続く

中国では先週、株価の急な変動を防ぐために導入されたばかりの「サーキットブレーカー」制度が、逆に株価の下落を助長しているとして、急きょ停止された。引き続きこの制度の停止により、市場が落ち着きをみせてくるかが注目されよう。そのため、中国はボラティリティの高い状況が続くとみられ、しばらくは目が離せないであろう。一方で、中国経済の不透明感が強いなか、世界の金融市場を揺さぶっている中国が落ち着きを見せてくることになれば、東京市場もリバウンドが意識されてくる。

■売り安心感の中でショートポジション積み上がる

日経平均は大発会からの5日間の下落幅は最大で1500円を超えた。急ピッチの下げに対する自律反発が意識されてくるほか、このところは中国市場の始まりと合わせて売り仕掛け的な流れが強まっていたように映る。そのため、ショートポジションはかなり積み上がっていると考えられ、中国次第では相当なリバウンドも意識されやすいだろう。目先は売り安心感の中でショート戦略が奏功しそうだが、ショートポジションの傾きには注意を払う必要がありそうだ。また、引き続き不安定な需給状況が続く可能性があるものの、一方で今回の世界株安の中では日銀の金融緩和期待が再燃しやすく、売り込みづらいところでもある。

■決算シーズン入り、好業績銘柄に資金集中

なお、決算発表が本格化してくるが、足下の円高傾向によって下期の業績上振れ期待が後退している。ただし、その中で予想を上回る決算ともなれば、資金が集中しやすいため、先回り的な動きは限られるものの、内容を確認してからの決算を手掛かりとした物色は強まりやすいだろう。

■北米自動車ショーやウェアラブルEXPOに関心

今週は米国では11日のアルコアを皮切りに決算発表シーズンに入り、14日にはJPモルガン・チェースやインテルが決算を発表する。そのほか、イベントとしては、11、12日に北米国際自動車ショーのプレスデーがデトロイトで開かれ、16-24日まで一般公開となる。12日にオバマ米大統領が一般教書演説をするほか、13日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)が発表される。国内では12日に11月の国際収支、12月の景気ウォッチャー調査、14日に11月の機械受注、12月の工作機械受注が予定されている。その他、13日にはウェアラブルEXPOが、15日まで東京ビッグサイトで開催される。

《FA》

 提供:フィスコ

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