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2015年12月15日16時30分

【特集】サン電子 Research Memo(2):モバイルデータソリューション事業はフォレンジック向けが好調


■事業概要

サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。

情報通信関連事業では、海外子会社のセレブライト社が展開する携帯電話向けのモバイルデータトランスファー機器を中心として、M2Mデジタル通信機器やゲームコンテンツ配信も手掛ける。また、エンターテインメント関連事業では、遊技機メーカー向けの遊技台部品(制御基板、液晶基板等)やパチンコホール向けのホールシステムの製造、販売を手掛ける。

従来、パチンコ業界向けのエンターテインメント関連事業を軸としてきた同社だが、2007年に買収したセレブライト社が展開するモバイルデータソリューション事業が急拡大してきた。今後、需要拡大の見込めるM2M市場のほか、AR市場、クラウドビジネス市場など、情報通信分野における新たな成長市場への参入により、成長を加速する方針である。

事業セグメントは、情報通信関連事業として「モバイルデータソリューション事業」と「その他事業(M2M、ゲームコンテンツ等)」、エンターテインメント関連事業として「遊技台部品事業」と「ホールシステム事業」の4つに分類される。そのうち、モバイルデータソリューション事業と遊技台部品事業の業績貢献度が高い。また、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の売上構成比率はおおむね55:45(2015年3月期実績)となっており、注力する情報通信関連事業の比率が初めて50%を超えた。

子会社は12社(国内1社、海外11社)、持分法適用会社は3社となっている(2015年9月末現在)。国内の連結子会社は、主に遊技台部品事業の製造を担うイードリーム(株)である。また中国に非連結の子会社が1社ある。一方、海外の連結子会社には、2007年に買収したセレブライト社(イスラエル)とその販売拠点として、米国、ドイツ、ブラジル、シンガポール、英国、フランス、カナダに現地法人が置かれているほか、新規事業やM2Mの米国展開に向けて設立したSUNCORP USA, Inc.(以下、サンコープ社)や、2015年9月に子会社化したイスラエルのBacsoft Ltd.(以下、Bacsoft社)がある。また、持分法適用会社には、モバイルデータソリューション事業に関連するCommuniTake社に加えて、2015年1月に資本提携を締結したイスラエルのCellomat Israel Ltd.(以下、Cellomat社)、9月に資本提携を締結したInfinity Augmented Reality, Inc.(以下、Infinity AR社)がある。

(1)モバイルデータソリューション事業

2007年に買収したセレブライト社が主体となって展開している事業であり、携帯機器販売店向け(以下、MLC)及び犯罪捜査機関向け(以下、フォレンジック)にモバイルデータトランスファー機器の販売及びサービスを行っている。セレブライト社は、1999年に設立されたベンチャー企業であり、2000年から米国でモバイルデータトランスファー機器の供給から開始した。携帯電話やスマートフォンなどの利用者が新機種に買い替える際、データの移し替えを円滑に行うものであり、携帯端末の普及に伴って需要が拡大し、現在では米国の携帯機器販売店でシェア90%を握る。特にスマートフォンの普及が、データの保存量や複雑性を高めたことから、データ転送速度など機能面で優れている同社製品の需要が一気に拡大した。

また、2009年頃からは携帯端末のデータ解析などにも利用できることから、フォレンジック向けにも有用性が認められ、米国や日本などで普及が進んだ。特に最近では、サイバー犯罪の増加を含め、携帯端末からの手掛かりや証拠入手の重要性が世界中で注目されるなかで、フォレンジック向けが好調に推移してきた。

グローバル展開にも積極的であり、2008年にドイツに進出したほか、2013年にはシンガポール及びブラジルに開設した拠点が営業を開始した。最近では2014年に英国、2015年に入ってからも1月にフランス、3月にカナダと相次いで拠点を設立している(中国にも設立準備中)。国内でも、2013年から大手キャリア向けに供給を開始し、全国約2,500店舗で導入された。

新機種へのリプレースを含めた機器販売に加えて、導入後のサポート手数料が積み上がるフローとストックを組み合わせた収益モデルとなっている。

(2)その他事業(M2M、ゲームコンテンツ等)

その他事業にはM2Mデジタル通信機器を中心としたM2M事業のほか、ゲームソフトの開発やコンテンツ配信サービス事業が含まれる。売上構成比(2015年3月期)は、M2M事業が約65%、ゲームコンテンツ事業が約35%となっているもようであるが、今後は、軌道に乗り始めたM2M事業が大きく伸びる見通しである。

M2M事業では、インフラ施設の稼働状況などをモバイル回線で送受信する通信機器「Rooster」の開発、販売を行う。同社製品の特長は、通信モジュールとパソコンの機能を一体化したことで汎用性を高めているところにある。現在の用途としては、気象観測システムや太陽光発電、セキュリティ関連などに採用されており、NTTドコモ<9437>の回線で利用されている汎用機器でのシェアはトップの実績を誇る。従来は、通信モジュールの売り切り型であったが、ソリューション提供型のストックビジネス(従量課金方式の収益モデル)への転換を図っている。2015年1月にはイスラエルのBacsoft社※との連携によりM2Mプラットフォームのサービスを開始した。通信機器(ハードウェア)だけでなく、システム部分の需要を取り込むことでソリューション力の向上と売上高の拡大に狙いがあるとみられる。
※2015年9月に子会社化

ゲームコンテンツ事業では、スマートフォンのゲーム市場が拡大しているなかで、ニッチ市場にターゲットを絞り込む戦略により、独自のポジショニングを確立してきた。今後も固定ファンを基盤にしたシリーズ化などにより着実な事業運営を目指す方針のようである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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