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2015年10月27日16時09分

【特集】GMOアドパートナーズ Research Memo(5):通期業績は戦略投資分を除くと営業利益は増益となる見通し


■今後の見通し

(1) 2015年12月期業績見通し

GMOアドパートナーズ<4784>の2015年12月期の連結業績は、売上高が前期比9.5%増の26,000百万円、営業利益が同63.4%減の240百万円、経常利益が同63.1%減の240百万円、当期純利益がゼロと期初計画を据え置いている。

売上高はエージェンシー事業、メディア・アドテク事業ともに増収を見込んでいるが、戦略投資による人件費やマーケティング費用の増加、本社増床に伴う地代家賃の増加などが減益要因となる。ただ、これら戦略投資分を除いたベースで見れば、営業利益は21.9%増の800百万円となる見通しだ。なお、経常利益と当期純利益の差については、純粋持株会社化と連結調整勘定の影響によるところが大きい。

第3四半期に関しては、大型の新規クライアントの獲得が好調なこともあり、売上高はエージェンシー事業を中心に順調に推移している。一方、第2四半期まで低調だったJWordに関しては販売回復に向けた取組みを進めている。自社商材であるJWordは今後の巻き返しが期待される。利益面では前述したとおり、人材投資費用の増加を見込んでおり、その進捗状況によって増減する可能性があるが、2015年12月期は2016年以降の成長に向けた先行投資期間としての位置付けであり、利益の水準に関しては年間計画の達成をベースに考えていく方針だ。

(2)アドクラウドの子会社化について

同社は2015年7月に、株式取得により、アドクラウドを100%子会社化したと発表した。インターネット広告市場の広告形態として、従来の枠売り広告である純広告から、アドテクノロジーが介在する運用型広告へと需要がシフトしていくなかで、同社においてもアドテクノロジー領域のさらなる強化を最優先課題として取り組んでいるが、今回のアドクラウドのグループ会社化はその体制強化に向けて、とりわけ技術開発面においてプラスの効果をもたらすものとして注目される。

アドクラウドは2008年設立のベンチャー企業だが、設立以来アドテクノロジー領域において多くのサービスを自社開発、提供してきた。特に膨大なページ閲覧数に対して、少ないサーバー台数で効率的に配信を行うインフラ基盤の設計、開発を得意としている。現在はアドサーバーやアドネットワークシステム、アドエクスチェンジシステムを保有しており、SSP※1、DSP※2、DMP※3などのサービスを自社開発により提供している。
※1 SSP(Supply Side Platform)…アドネットワーク上において媒体(メディア)側の収益を最大化させるためのプラットフォームを指す。媒体が持つ広告枠に対してリアルタイムで入札を行い、最も高額を提示した広告が広告枠に表示される仕組みとなっている。
※2 DSP(Demand Side Platform)…アドネットワーク上において広告主側の広告効果最大化を支援するための広告配信プラットフォームを指す。複数のSSPと接続することで、最適な広告枠の買い付けをリアルタイムで行うことが可能となる。
※3 DMP(Data Management Platform)…ネット上に蓄積されたあらゆる情報データを一元管理、分析し、より効果的な広告配信やWebマーケティング施策に活用するためのプラットフォームを指す。企業が自社で蓄積しているマーケティングデータ(顧客情報や購買データ等)と外部のオーディエンス情報を組み合わせて活用するプラットフォームを「プライベートDMP」と呼ぶ。

過去同社では、アドクラウドの設立当初にアドテク分野のサービスに関してOEM供給を受けていた時期があり、技術開発力における評価は高い。

連結業績においては当第2四半期より貸借対照表に反映され、第3四半期から損益計算書に組み込まれることになるが、業績に与える影響は軽微とみられる。

同社ではアドクラウドのグループ会社化によって、両社の技術力や営業・マーケティング力を生かしながら、まずはSSP事業で、業界ナンバーワンを目指していく方針で、その次のステップとしてDSPやDMP事業でのシェア拡大を進めていく戦略となっている。また、DSPやDMPの開発経験を生かした新たな統合プラットフォームの開発にも着手していく。なお、ビッグデータを活用するデータマイニング領域においては、GMOインターネット<9449>とのグループシナジーも活かしながら開発を進めていくことになる。

同社でもSSPやDSP、DMPの自社商材を保有しているが、当面はダブルブランドで営業活動を行っていく予定となっている。アドクラウドの商材は広告配信機能やユーザビリティといった面で、市場において一定の評価を得ているためだ。この機能面で評価の高いアドクラウドの商材を、同社のもつ強固な営業ネットワークで販売することで、売上高の増加が期待される。メディア側のサービスとなるSSPはGMOアドマーケティングで、広告主側となるDSP、DMPはGMO NIKKOで販売していく予定だ。

(3) 2016年以降の見通し

同社の業績は2012年から2014年まで年率20%台の売上成長を続けてきたが、この間の成長要因としては既存のインターネット広告事業の伸びに加えて、JWordやGMOソリューションパートナーなど、連結対象となるグループ会社が増加してきた効果もあった。インターネット広告市場は前述したように、DSPやSSPなどアドネットワーク分野やスマートフォン向け広告などがここ1~2年で急成長しており、競合の成長スピードもかなりの急成長を見せている。こうした市場・競合の成長に対してキャッチアップしていくためには、技術開発力の強化が必須であると言える。

こうしたことから、同社は2015年を「テクノロジーシフトの加速」を実現していくための社内基盤づくりの1年として位置付けている。アドテクノロジー領域においては、アドクラウドのグループ会社化だけでなく、引き続き人材投資を積極化し、2015年内で102名の採用を行う方針で、開発力や営業力の一段の強化を進めていく。

こうした取組みの成果が2016年以降の業績に反映されてくるものと予想されるが、2016年12月期に関しては売上高として30,000百万円がターゲットになってくると予想される。グループ社員数が2014年12月末の809名(臨時社員含む)から2015年12月末は900名以上と1割強増える見込みで、2016年12月期は人件費の増加が収益を圧迫する可能性がある。ただ、アドテクノロジー領域やスマートフォン、SNS向け広告などの売上拡大によって費用増を吸収し、営業利益ベースでは3期ぶりに2ケタ増益に転じるものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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