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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「買い戻し一巡、アヤ戻り正念場」

  株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は10月9日に1万8438円高値、NYダウは10月13日に7連騰で高値1万7172ドルと、10月になり日米の株式市場は順調に上値追いとなっている。だが、ダウは75日線とネックラインの節に差し掛かり、日経平均は1万8500円を目前に足踏み模様。これが単なるスピード調整で再び上値追いとなるのか、それともここから調整入りとなるのか、10月後半は微妙な局面を迎える。

◆中国の経済指標が芳しくない。9月中間決算の発表はこれからだが、中国経済の鈍化を考慮すると「上方修正」は期待しにくく、先に発表の始まった米国企業の決算は芳しくないものが目立つ。だが、そうした業績鈍化を背景に市場で高まっているのが「政府、日銀」による景気対策、金融政策で、ここでの株価上昇にはそうした期待もある。米国では「利上げ観測の後退」であり10月28日のFOMCが注目され、日本では10月末の日銀政策決定会合で「追加緩和(QE3)」に動くとの期待が高まっている。郵政3社の上場が「11月4日」に迫っており、それを成功させるのも政策であるから「QE3」に動く可能性は十分にあると言える。

◆10月15に株価が切り返した局面では「年金買い」「日銀のETF買い」が指摘された。また、日米とも8月、9月に大きく崩れて上昇基調に亀裂を入れており、そこで売った向きの買い戻しがいま入りやすいこともある。だがチャートは日米とも、ここでの上昇はあくまでも崩れたあとの「アヤ戻し」。買い戻しが一巡すると、その後の行方は分からず「二段下げ」懸念が消えたわけではない。そして、FOMCや日銀、郵政上場というイベントが終わると政策相場も出尽くしから「お役御免」となりかねない。

◆いまは、こうした強弱要因が交錯する局面と言えるだろう。月内の株価は上げたり下げたりの「もみ合い」が想定されるが、週足などチャートが崩れた状況ではアヤ戻り一巡あとの二段下げ懸念が拭えず、まだ強気になるところではない。東芝 <6502> や洋ゴム <5105> 、三井住友建設 <1821> 、旭化成 <3407> など相次ぐ不祥事も、日本には逆風となる。

(10月15日 記、毎週土曜日9時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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