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【特集】<話題の焦点>=磁気テープ復権、データ保存で存在感増す

 磁気テープが復権しているという。「磁気テープ」と聞くと、中高年以上にとっては音楽を録画するカセットテープや、ビデオテープなどに使用され、日常のなかでよく目にする製品だったが、音楽や映像の楽しみ方がテープからCD・DVD、そしてデジタルオーディオやブルーレイディスク、インターネットなどに変わっていくなかで、次第に「過去のメディア」となっていた。しかしここ近年、記録メディアとして利用が増えているという。

 経済産業省の生産動態統計の機械統計によると、磁気テープの生産量は減少傾向にあったが、2012年には生産量が前年比で増加した。前年3月に発生した東日本大震災により、被災地の自治体では、津波によって多くの住民情報が流され、その後の復興の大きな妨げになったが、改めて住民情報を保存する際、磁気テープを記録メディアとして利用するケースが増えたためだ。磁気テープ自体も、保存や持ち運びが便利で停電などにも強いといった従来のメリットに加えて、大量のデータを保存できるように進歩したことがこの傾向に拍車をかけた。

 13年以降は再び減少に転じているが、生産量だけでは推し量れないものもある。コンピューター用磁気テープ最大手の富士フイルムによると、世界の14年の磁気テープの市場規模は容量ベースで約35エクサ(エクサは100京)バイトで、08~13年にかけては年2割ほどのペースで増加し、14年は前年比30%増と伸びが加速したという。世界的にみても磁気テープは復権しているのだ。

 現在、世界的にも磁気テープを製造するのは富士フイルムホールディングス<4901>、日立マクセル<6810>、ソニー<6758>など日本勢が寡占しており、磁気テープの復権はそのままこれら企業にとってプラスに働く。このほか、磁性体を手掛ける戸田工業<4100>、ベースフィルム部分を手掛ける東レ<3402>などにも注目したい。


出所:株経通信(株式会社みんかぶ)

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