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【市況】中村潤一の相場スクランブル 「動意気配の為替、トレンドを注視」


日刊株式経済新聞 副編集長 中村潤一

●10月末の日銀会合がひとつのヤマに

 「凪の時に一番よく学べることと、嵐の時に一番よく学べることがある」とは女流作家アン・ラモットの至言。これは相場格言としてもそのまま通用しそうです。

 暴風雨に遭遇している只中にあっては、とても晴天の日などイメージできるものではありませんが、どんなに悪天候でもいずれ雨は上がり、虹もかかります。風のない晴天の日に学ぶべきことはもちろん多い。しかし、たまに訪れる暴風雨の時にこそ客観的かつ冷静な目を養うチャンスというわけです。相場は近未来を推測するマネーゲームですが、投資家にとって、すべては「今」をしっかり見ておくことから始まるのです。

 マーケットは世界的な株安連鎖から完全に立ち直ったとは言えない段階です。それでも中国景気減速に端を発した世界経済の先行き不透明感を、“共存できる悪材料”として相場はかなり織り込んでいるようです。

 米利上げが早くて12月、場合によっては来年にずれ込むことが予想されるなか、為替の動向が「今」の最大の注目点といえます。チャート的には1ドル=120円を軸に煮詰まっている状況で、早晩、中勢トレンドとしてもどちらかに放れる可能性が高いとみますが、果たして円高局面となるのかどうか。これについては10月末の展望リポートと合わせた日銀の金融政策決定会合がカギを握っていると思われます。

 中国の景気減速については本質的に金融政策では効果が薄い、いわゆるバランスシート不況ならば、成長エンジン再燃には困難が伴うでしょう。中長期的にも労働人口の減少から中国経済の成長率鈍化は趨勢的に受け入れていかざるを得ず、これは「懸念」ではなく、相場はこの現実とどう折り合いをつけるかという話です。

 今月下旬から第2四半期決算発表が本格化することで視線は再び個別企業の業績に向かいそうです。15年度通期ベースでは全産業で2ケタ増益は確保されそうで、時価PERから判断する限り、日経平均1万8000円近辺は買い方有利とみています。

(隔週水曜日掲載)

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