市場ニュース

戻る
 

【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「“郵政”期待と“二段下げ”懸念」


◆9月29日は700円を超す下落で安値1万6901円を付けた日経平均株価。二段下げに突入しかけたが、その後は450円高、330円高と2日間で29日の下げ分を取り戻した。中間期末と下期入りというタイミングで、アベクロ会談で追加緩和期待が高まり、売り方の買い戻しを誘ったと思われる。それは、空売り比率が29日43.4%→1日37.8%に低下したことでも明らかだが、そして10月といえば上場する「郵政3社」の公開条件が決まる。政策である「郵政」上場を成功させるためにも、政府当局と金融業界による地合い作りが想定される。

◆その観点で、まず注目されるのが「10月7日」の日銀政策決定会合。そこで黒田総裁がQE3に動くかどうかだが、郵政を支援するために追加緩和に動く可能性は高まっている。鉱工業生産や日銀短観が鈍化したことで追加緩和に動く理由づけもできた。さらに「内閣改造」「郵政仮条件」がやはり10月7日で、国慶節の中国市場休場も10月7日までと、「10月7日」はスケジュールでも大きなポイントが重なる。サプライズ好きの黒田総裁としては「昨年10月31日の夢」をもう一度狙うのではないだろうか。

◆日経平均のチャートは二段下げに突入しかけたが、NYダウやDAXなどの欧米株が下げ渋ったことから、再びアヤ戻しに転じた。とはいえ、割り込んだ平均線の25日線、200日線などが1万8000~1万9000円処で節として待ち構えている。当面はその節目にトライできるかが焦点になろう。

◆ただ、いくら日本の政府当局や業界が尽力しても、カギを握るのはあくまでも世界の屋台骨であるアメリカ、であり、ダウのチャートはまだアヤ戻りの範疇で下落懸念を払拭できていない。FRBの年内利上げや、VW(フォルクスワーゲン)の不正ソフト問題と株価急落、株価下落に伴う含み損の発生、そしてサウジアラビアの投資マネー引き揚げなど、世界の株価はいつまた崩れてもおかしくない状況にある。

◆郵政相場としてのアヤ戻しと、懸念される同時株安「第二ラウンド」。当面(10月前半)はこうした期待と懸念が交錯する地合いであることを承知しておきたい。

(10月1日 記、毎週土曜日9時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均